Web限定連載
温泉ソムリエが選ぶ! 身も心もいやされる「旬の湯宿」
Vol.19

【静岡県・伊豆山温泉「熱海・伊豆山 佳ら久」】
海の絶景温泉と心身を解放するフリーフローラウンジ

温泉

2026/04/03

温泉は、生きている地球の力が詰まった恵みの泉。四季のある美しい日本を訪ねて、その土地ならではの温泉に入り、身も心もいやされる旅へ。“カリスマ温泉ソムリエ” 石井宏子さんが、いまこそ出かけたい旬の湯宿をご紹介します。

ライター
取材・文/石井宏子(旅行作家・温泉ビューティ研究家)
エリア
静岡県

絶景の温泉で心身を解放し、日ごろの疲れをいやす旅はいかがでしょうか。今回ご紹介するのは、静岡県・伊豆山温泉「熱海・伊豆山 佳ら久」です。首都圏からのアクセスがよく、気軽に行けるのもうれしい立地です。なんといっても特徴は、相模湾を見渡す高台にあること(冒頭写真)。海を眺めて温泉に浸り、開放感抜群のゲストラウンジではドリンクやフィンガーフードを楽しみながら、海の風景とずっと一緒に過ごせます。

海絶景の足湯で自分流アフタヌーンティー

最も眺望のよい最上階のロビーに隣接するゲストラウンジ「間(AWAI)」は、滞在中自由に楽しめるパブリックスペースです。ここには、アルコールやソフトドリンクのほか、おつまみやスイーツなどがずらり。午後2時から夜8時までのフリーフロータイム内であれば、自由に楽しむことができます。外のテラスには温泉の足湯(写真)もあり、海と空の青がとけあう景色はまさに、館内の壁に飾られている書にあった「水天一碧(すいてんいっぺき)」という表現がぴったりです。

ラウンジで楽しめるドリンクは、ビールやワイン、日本酒はもちろん、生ビールサーバーのようなマシンから注ぐクリーミーなアイスコーヒーまで、こだわりの充実ぶり。スイーツや伊豆の銘菓とともに、自分流のアフタヌーンティー(写真)を楽しめます。

海と空へ続くインフィニティー温泉

男女別の大浴場があるのは、最上階のひとつ下のフロアとなる7階(写真)。温泉やサウナと水風呂のほか、外のテラスには露天風呂とバスタオルを羽織って外気浴ができる「ととのい椅子」が用意されています。

露天風呂は、大パノラマの海絶景が視線の先へ続くインフィニティー設計(写真)。約90cmの深湯になっており、立って入ることができます。湯船の縁まで進めば、景色のなかに自分自身が浮かんでいるような気分に。横に長い設計のため、入浴者は自然と横並びになりますが、これは、ほかのゲストが視界に入りにくく、自分だけがこの場にいて絶景をひとり占めしているように感じさせるための工夫です。

泉質は、カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉・塩化物、pH7.71の弱アルカリ性。肌がしっとりうるおい、ぽかぽかと温まりが持続する温泉です。海のミネラルを含んだ潮風を浴びて入る温泉は、心も体もいやしてくれることでしょう。

部屋の温泉から水平線に昇る朝日を楽しむ

客室は、高層階なら海の絶景、低層階なら森のいやしと、雰囲気の異なる眺望を楽しむことができ、どちらにもファンがいるそうです。写真は高層階の「露天風呂付デラックスルーム(和タイプ)」。リビングの部分が畳になっているので素足でも心地よく過ごせます。部屋のなかからも海と空の景色を楽しむことができるため、まるで船旅をしているかのよう。

客室のテラスにある専用の露天風呂は、いつでも何度でも気ままに温泉に入れるのが魅力。昼間の青一色の世界もすてきですが、もうひとつのお楽しみは朝日が昇る時間帯。海の向こうの荘厳な光を仰ぎ、オレンジ色に染まる海と空、茜色に染まるうろこ雲がつくり出すドラマティックな情景は、忘れられない旅の瞬間となりました(写真)。

海と山に囲まれた伊豆山を味わう会席料理

ダイニング「六つ喜(むつき)」の夕食は、伊豆山の海と山をイメージした料理と器で展開される会席料理。前菜に続いて登場したお造りが大迫力(写真)で、この日は相模湾のサザエ、オオモンハタ、カンパチ、マグロなどを、絵画のような器で楽しみました。メインの魚料理は3種類から選べるプリフィクススタイルで、「キンメダイ鱗焼き、彩野菜と青のりのナージュ」(写真)をチョイス。キンメダイは、パリパリとした鱗の食感と、ふっくらジューシーな身とのコントラストが絶妙。ナージュとはフランス語で「泳ぐ」という意味で、青のりのブイヨンソースには野菜がまるで泳ぐようにひたっています。口に含むと、野菜とともに海の味わいが口いっぱいに広がりました。

「黒毛和牛サーロイングリル」は、ふたつの器を重ねて供するスタイル(写真)。ジューシーな肉は料理長特製のベジソルトやワサビ、熟成バルサミコ酢などをアクセントにして楽しみ、なかから現れた温野菜はりんごドレッシングでさっぱりといただきます。釜炊きで登場する「鮭きのこごはん」(写真)の優しい味わいに箸がすすみます。

ごはんのお供が並ぶ朝食と挽きたてコーヒー

朝食は宿オリジナルブレンド米をゲストの朝食時間に合わせて炊き上げます。アジの干物、お造り、かまぼこ、ジャコ、大きな梅干しなど、ごはんのお供がずらり。

食後は、おいしいモーニングコーヒーを味わうために、もうひとつのゲストラウンジ「刻(TOKI)」へ。こちらもフリーフローで何度でも利用可能。コーヒー豆はタンザニア、エチオピア、ブラジル、グアテマラ、スマトラなど7種類。産地とともに味わいの特徴やスケール表がわかりやすく表示されているので、選ぶ時間も楽しめます。選んだ豆はスタッフが1杯ずつ挽いてフレンチプレス式で淹れてくれます(写真)。紅茶も異なる茶葉やハーブティーなど8種類が用意されており、コーヒー派も紅茶派も満足させてくれるラウンジです。

   

(*データ)

伊豆山温泉「熱海・伊豆山 佳ら久」

いずさんおんせん「あたみ・いずさん からく」

  • 住所 静岡県熱海市伊豆山630-1
  • 電話番号 0557-55-7900
  • 料金 スタンダード和会席ダイニング「六つ喜」プラン・おひとり様1泊2食付55,000円~、佳ら久ルームは66,000円~(ともに2名1室利用時・消費税込・入湯税150円別・宿泊税200円別)
  • 公式サイトhttps://izusan-karaku.orixhotelsandresorts.com/

   

(*著者プロフィール)

いしい ひろこ●旅行作家・温泉ビューティ研究家。

年間200日ほど国内外の温泉を旅する。雑誌や新聞などに旅コラムを書き、テレビ・ラジオにも出演。温泉や食、自然環境を通じて美しくなる“ビューティツーリズム”を研究。杏林大学温泉療養学兼任講師、国際中医師、日本温泉科学会代議員、日本温泉気候物理医学会会員、カリスマ温泉ソムリエ。著書に『感動の温泉宿100』(文藝春秋)、『新・温泉ビューティ』(グリーンキャット)ほか。

https://www.onsenbeauty.com/

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