Web限定連載
温泉ソムリエが選ぶ! 身も心もいやされる「旬の湯宿」
Vol.1

自分をねぎらう“現代湯治”の温泉
宮城県・東鳴子温泉「旅館大沼」

温泉

2023/06/12

温泉は、生きている地球の力が詰まった恵みの泉。四季のある美しい日本を訪ねて、その土地ならではの温泉に入り、身も心もいやされる旅へ。“カリスマ温泉ソムリエ”石井宏子さんが、いまこそ出かけたい旬の湯宿をご紹介します。

ライター
取材・文/石井宏子(旅行作家・温泉ビューティ研究家)
エリア
宮城県

春から夏へと移り変わる梅雨の時期は、気温や湿度の変化に体がついていけず、疲れやだるさを感じやすくなります。自律神経を整え、睡眠の質向上を助けるには、のんびりと温泉に浸かって心身を休める旅がおすすめです。ひとりでも泊まれる現代湯治の宿は、だれにも気兼ねせずに、思い立ったときに自分のペースで出かけることができるのが魅力です。

ふたつの泉質が楽しめる現代湯治の宿

東鳴子温泉「旅館大沼」は、20年以上前から現代人のための温泉=“現代湯治”を提唱してきた、元祖現代湯治の宿です。宿には2種類の異なる源泉が引かれ、8つの温泉があり、そのうち5つが貸切可能な風呂になっています。「薬師千人風呂」は混浴大浴場ですが、女性専用時間帯もあります。湯船のなかの丸い座石がなめらかで心地よく、ここに腰かけて目を閉じ、湯の流れる音を聴いていると座禅をしているような気分になり心が落ち着きます。泉質はナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉。やわらかな感触の湯に、体の芯までぽかぽかと温まります。

もうひとつは、自家源泉のナトリウム-炭酸水素塩泉で、成分総計の90%近くが炭酸水素ナトリウム(重曹)。古い角質を落として肌をなめらかに整える美肌の湯です。赤湯と呼ばれる紅茶色の温泉で、植物由来のモール成分を豊富に含み、体を温めて肌はしっとり。森のような香りにもいやされます(左写真「陽の湯」)。浴衣のままでごろりと横になる「ふかし風呂」(右写真)も貸切可能。床下に源泉が流れていて心地よい暖かさで、背中や腰からじんわりと温まってきて適度に発汗します。

宿から少し離れた山のなかにある、庭園貸切露天風呂「母里(もり)の湯」(冒頭写真)は、心を洗い命の洗濯をする温泉。湯小屋の木戸を開けると、温泉の流れる音が水琴窟(すいきんくつ)のように響き、季節を愛でる茶室のような雰囲気です。水鏡になった湯面に森の緑が映り、景色も湯のなかへ入ります。静かに湯に浸かっていると、小鳥やカエルの鳴き声が聞こえてきます。

滞在スタイルも食事の量も自由に

泊まり方のバリエーションも多彩です。旅館タイプの本館や気軽に滞在できる湯治館があり、好みの滞在スタイルを選ぶことができます。また、食事は自家製薬膳鍋がおいしい一汁五菜のヘルシープランから、霜降り牛タンと仙台牛の陶板焼きが付いた一汁九菜まであり、主食も白米、玄米、五穀米から選べて、体を整えたいときも、ご褒美ごはんにしたいときも自由。連泊滞在なら、暮らす気分で自炊湯治も楽しい……。 

館内は客室もパブリックスペースも全館高速Wi-Fi完備で、ワーケーションをしやすい環境が整っています。20232月のリニューアルでは、本館の部屋がナチュラルテイストになり、デスクと椅子が入りました。さらに、「湯治ペントハウス」と呼ばれるコンセプトルームも誕生。現代湯治の自由な楽しさに驚きます。温泉で体も心も整えて、ぐっすり眠り、明日の活力をチャージする旅はいかがでしょう。

(*データ)

東鳴子温泉「旅館大沼」 ひがしなるこおんせん「りょかんおおぬま」

  • 住所 宮城県大崎市鳴子温泉赤湯34
  • 電話番号 0229-83-3052
  • 料金 おひとり様1泊2食付15,180円~(2名1室利用時・サービス料込・入湯税150円別)
  • 公式サイト https://www.ohnuma.co.jp/

   

(*著者プロフィール)

いしい ひろこ●旅行作家・温泉ビューティ研究家。年間200日ほど国内外の温泉を旅する。雑誌や新聞などに旅コラムを書き、テレビ・ラジオにも出演。温泉や食、自然環境を通じて美しくなる“温泉ビューティツーリズム”を研究。杏林大学温泉療養学兼任講師、国際中医師、日本温泉科学会代議員、日本温泉気候物理医学会会員、カリスマ温泉ソムリエ。著書『感動の温泉宿100』(文藝春秋)ほか。https://www.onsenbeauty.com/

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