Web限定連載
温泉ソムリエが選ぶ! 身も心もいやされる「旬の湯宿」
Vol.18

【鹿児島県・妙見温泉「妙見石原荘」】炭酸ガスで代謝をサポートする“スッキリ温泉”

温泉

2026/02/13

温泉は、生きている地球の力が詰まった恵みの泉。四季のある美しい日本を訪ねて、その土地ならではの温泉に入り、身も心もいやされる旅へ。“カリスマ温泉ソムリエ” 石井宏子さんが、いまこそ出かけたい旬の湯宿をご紹介します。

ライター
取材・文/石井宏子(旅行作家・温泉ビューティ研究家)
エリア
鹿児島県

季節の変わり目は血流が滞りがちになり、肌荒れや疲れ、ストレスを感じやすくなってしまいます。そんなときは、含有する炭酸ガスの働きで血行を促進し、代謝を助ける“スッキリ温泉”がおすすめ。今回ご紹介する鹿児島県・妙見(みょうけん)温泉にある「妙見石原荘」は、敷地に炭酸ガスを含んだ源泉が7本もあり、新鮮な状態で湯船へとかけ流すことにこだわりをもつ湯宿です。

野趣あふれる渓流を望む隠れ宿

鹿児島空港から車で15分ほどで、ワイルドな渓流の天降川(あもりがわ)沿いに広がる妙見温泉に到着します。まさに自然のなかの隠れ湯といった雰囲気の温泉です。妙見石原荘は近年リニューアルを重ね、魅力ある客室が増えました。宿の本館隣にある重厚な「石蔵(いしくら)」(写真)も、昭和初期に建てられた米倉庫を解体し、再び積み上げて移築。和洋折衷のモダンな客室と食事処へと生まれ変わりました。

炭酸成分を含んだ湯が代謝をサポートするので気分もスッキリ!

7本ある源泉に合わせて露天風呂や内湯が点在しています。自然湧出する源泉の新鮮さにこだわり、高温の源泉を、真空管のような状態で加水もせず空気にもふれさせず熱交換し、適温にしてから源泉 100%で湯船へと注いでいるので、注ぎ口の温泉は、シュワシュワと音を立てて炭酸の泡が弾けるのがわかるほどです。泉質は、ナトリウム・カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩泉。ツルツルの感触で肌の古い角質を落とし、なめらかな肌へと導く美肌の湯。500700㎎と豊富に含有する二酸化炭素ガスの働きが血流を促進し、代謝をサポートしてくれるので、気分もスッキリ。天降川と一体になれる気分の「野天風呂 椋(むく)の木」(写真)は湯船の底から源泉が湧いています。露天風呂「七実(ななみ)の湯」(冒頭写真)は、光が差し込む朝の時間がおすすめ。湯口から大量に注がれる新鮮な源泉からプチプチと弾ける炭酸の泡がきらきらと輝きます。神様が舞い降りるような神秘的で美しい光景です。

また、「薬泉」と書かれた飲泉場(写真)では、ミネラル成分の豊富な微炭酸の温泉を飲んで、皮膚だけでなく体の内側からも温泉の力を取り込めます。

それぞれのお風呂は趣が異なり、例えば建築家・中村好文氏が設計した貸切露天風呂「睦実(むつみ)の湯」は、まるで秘密基地のよう。狭い通路(写真)を通って温泉が見えたときのサプライズ感にテンションが上がります。ダイナミックに渓流に突き出た丸い湯船は、夕暮れどきになると湯船のなかのライトが炭酸の泡を際立たせて幻想的な雰囲気に(写真)。

別荘気分でくつろげる、モダンなしつらえの客室

「石蔵」のモダンな客室には、渓流を望むリビング(写真)があります。ソファに座って緑の景観を眺めながらコーヒーを飲む時間は、まるで自分の別荘にいるかのよう。リビングの隣には客室専用の露天風呂(写真)があり、思い立ったらいつでも温泉に入ることができるのもポイント。野鳥のさえずりや渓流の水音を聴きながら、自分だけの温泉に入る時間は至福のひとときです。この建物の下にある良質な源泉は、自噴する力だけで客室の浴槽に注がれています。湧きたての温泉に入ると、じんじんと血流がよくなってくるのを感じ、肌表面はぽかぽかに。

鹿児島の季節と自然を味わう食事

東京の建築設計事務所スーパーポテトの創業者、杉本貴志氏設計の食事処は、天然素材で作られたテーブルや椅子、壁に組み込まれた古道具などから、懐かしさと温かみが感じられる空間です(写真)。夕食は、薩摩切子のグラスで地元の焼酎を味わいながら。食材のもつ滋味を存分に楽しんでもらえるようにと、メニューは鹿児島の自然をそのまま感じられるような構成となっています。春夏の名物である天降川の鮎の塩焼きは、竹篭を使って川で釣ったばかりのような演出で供され、竹の香りもさわやか。黒豚のしゃぶしゃぶ(写真)の後に登場した土鍋で炊いた「鰻牛蒡御飯」は、ゴボウの風味が鰻の味を引き立て、驚きのおいしさ! 満腹でもお代わりできてしまうほどです。

リビングに温泉?! 格別の休日を過ごすなら和洋室特別室「瑠璃紫」

ここでしか味わえない格別の温泉休日を過ごしたいなら、本館和洋室特別室「瑠璃紫(るりむらさき)」もおすすめです。宿でも歴史のあるふたつの部屋を統合し、120㎡の広さを誇ります。そしてこの部屋最大の特徴は、18畳もある温泉リビング(写真)! 建築家の藤田豪氏が細部まで考え抜いた斬新な空間です。こんこんと湧き立つ温泉に満たされた巨大な湯船に浸かり、湯上りにはリビングのソファでくつろぎ、再び自分だけの温泉へ――こんなぜいたくな過ごし方が思いのままなのです。

(*データ)

  • 妙見温泉「妙見石原荘」

    みょうけんおんせん「みょうけんいしはらそう」

    • 住所 鹿児島県霧島市隼人町嘉例川 4376
    • 電話番号 0995-77-2111
    • 料金 おひとり様12食付 40,000 円~、本館和洋室特別室「瑠璃紫」(半露天風呂付75,000円~(ともに2名1室利用時・消費税込・入湯税150円別)
    • 公式サイト https://www.m-ishiharaso.com/

   

(*著者プロフィール)

いしい ひろこ●旅行作家・温泉ビューティ研究家。

年間200日ほど国内外の温泉を旅する。雑誌や新聞などに旅コラムを書き、テレビ・ラジオにも出演。温泉や食、自然環境を通じて美しくなる“ビューティツーリズム”を研究。杏林大学温泉療養学兼任講師、国際中医師、日本温泉科学会代議員、日本温泉気候物理医学会会員、カリスマ温泉ソムリエ。著書に『感動の温泉宿100』(文藝春秋)、『新・温泉ビューティ』(グリーンキャット)ほか。

https://www.onsenbeauty.com/

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