【栃木県・板室温泉「ONSEN RYOKAN 山喜」】 心地よい眠りをもたらす“美肌の湯”
温泉
2025/10/03
温泉は、生きている地球の力が詰まった恵みの泉。四季のある美しい日本を訪ねて、その土地ならではの温泉に入り、身も心もいやされる旅へ。“カリスマ温泉ソムリエ” 石井宏子さんが、いまこそ出かけたい旬の湯宿をご紹介します。

- 取材・文/石井宏子(旅行作家・温泉ビューティ研究家)

- 栃木県
温泉は自律神経を整え、心地よい眠りをもたらしてくれます。国民保養温泉地に指定されている栃木県・板室(いたむろ)温泉は、古くから那須七湯のひとつに数えられ、「下野(しもつけ)の薬湯」と呼ばれて湯治客に愛されてきました。今回ご紹介するのは、そんな板室温泉にある「ONSEN RYOKAN山喜(おんせん りょかん やまき)」。ややぬるめの優しい温泉で心身を緩めて、朝までぐっすり。肌も体もいやされる湯宿です。


町屋をイメージしたモダン建築
板室温泉へ到着すると、最初に視界に飛び込んでくるのは「ONSEN RYOKAN山喜」のモダン建築(写真)。ここは、全8室の小さな宿で、エントランスを入り中庭を通って玄関へと進んでいくアプローチは、これから始まるいやしの時間を感じさせてくれます。ゲストが、見たりふれたりするものから非日常を感じ取り、豊かな時間を過ごせるようにと考えられた館内は、照明やインテリアにこだわった空間です。アートと薪ストーブが迎えてくれるロビーの奥にはラウンジもあって、ゆったりした時間の流れを感じます(写真)。
伝統入浴法「綱の湯」を体験できる湯船でリラックス

宿の魅力は、なんといっても2本の自家源泉を駆使した源泉100%の温泉です。かけ流しの湯の新鮮さが際立つ温泉は、湯にハリがあり、まるで表面張力を感じるかのように盛りあがって見えます(冒頭写真)。泉質はアルカリ性単純温泉で、肌をなめらかに整える美肌の湯。ややぬるめで、つるつるとした感触が肌を包み湯に抱かれているような安心感です。気付けば天井から謎の白い綱が下がっていますが(写真)、これは「綱の湯」と呼ばれる板室温泉の珍しい伝統入浴法のための仕掛けで、ここはそれを実践できる場所なので
す。綱の下の湯船は90 cmくらいの深さで立って入ることができます。両手で綱につかまって入ってみると、ふわふわと宙に浮いているような感覚。絶妙な位置に結び目があり、そこにつかまれば全身が伸びて気持ちがよい。肩甲骨周りの筋肉が緩み、肩や首のコリが楽になってくる気がします。この不思議な気持ちよさにハマって、すっかりリラックスしていました。また、露天風呂もあり、秋には紅葉する木々を眺めながら静かな時間を過ごせます(写真)。
眠りにこだわった寝具で快眠を

地域の食材の“素”をおいしく味わう


夕食は、個室タイプの食事処でいただきます。自家製果実酒から始まり、地域の旬の野菜や食材の“素”を楽しむことがテーマの料理(写真)。前菜は、焼そらまめ、赤こんにゃくオランダ煮、つぶ貝旨煮などが美しく盛られて(写真)、日本酒をちびちびと。栃木県産活〆鯉の洗いはサラダ仕立てのお造りで、ワインにも合いそう……などと思いを巡らせます。鯉はビタミンB1などが豊富で、疲労回復にもいいといわれる食材です。続いて那須和牛の焼きしゃぶなどを味わいつつ、仕上げは那須産コシヒカリのごはん。栃木県産牛山椒煮や甲イカ墨造り、大葉味噌などごはんのお供がたくさん並んで、最後までおいしくいただいてしまいました。
温泉付き客室の湯船は総檜造り


客室は少しずつ造りが異なっているので、どの部屋にしようか考えるのも楽しいものです。温泉付きの部屋(写真)もふたつあり、床、天井、湯船すべてが檜造りです。朝起きたら、布団から数歩で入れる温泉があるというのは至福です。温泉から森を眺めれば、ゆっくりと体の細胞が目覚めていきます。
朝食(写真)は、とちぎゆめポークと地元野菜のせいろ蒸し、自家製がんもどきや近隣のハーレー牧場の牛乳、那須産の温泉たまご、那須産コシヒカリのごはんなど、地元食材を使い、栄養バランスもよく、体が整うごはんです。
(*データ)
板室温泉 「ONSEN RYOKAN山喜」 いたむろおんせん 「おんせん りょかん やまき」
- 住所 栃木県那須塩原市板室844
- 電話番号 0287-69-0011
- 料金 おひとり様1泊2食付22,000円~(温泉付客室「楓」「椛(もみじ)」は31,900円~)(2名1室利用時・消費税込・入湯税150円別)
- 公式サイト https://yamaki-onsen.com/
(*著者プロフィール)

いしい ひろこ●旅行作家・温泉ビューティ研究家。
年間200日ほど国内外の温泉を旅する。雑誌や新聞などに旅コラムを書き、テレビ・ラジオにも出演。温泉や食、自然環境を通じて美しくなる“ビューティツーリズム”を研究。杏林大学温泉療養学兼任講師、国際中医師、日本温泉科学会代議員、日本温泉気候物理医学会会員、カリスマ温泉ソムリエ。著書に『感動の温泉宿100』(文藝春秋)、『新・温泉ビューティ』(グリーンキャット)ほか。








