Web限定連載
温泉ソムリエが選ぶ! 身も心もいやされる「旬の湯宿」
Vol.13

【兵庫県・有馬温泉「陶泉 御所坊」】プレート直結のパワフル温泉

温泉

2025/04/04

温泉は、生きている地球の力が詰まった恵みの泉。四季のある美しい日本を訪ねて、その土地ならではの温泉に入り、身も心もいやされる旅へ。“カリスマ温泉ソムリエ”石井宏子さんが、いまこそ出かけたい旬の湯宿をご紹介します。

ライター
取材・文/石井宏子(旅行作家・温泉ビューティ研究家)
エリア
兵庫県

『日本書紀』に「神様が発見した」と記されている有馬温泉は、1400年の歴史があり、日本最古とされる温泉のひとつです。「有馬型」と呼ばれる特別な成り立ちをしているプレート直結温泉で、源泉は600万年以上前の海水が地下深くのマントルに温められて噴出したものです。有馬温泉には金泉と銀泉がありますが、今回ご紹介する「陶泉(とうせん) 御所坊(ごしょぼう)」では、金泉に入ることができます。塩分、鉄分、二酸化炭素ガスを豊富に含む金泉は、塩分濃度が海水の二倍以上あり、体液の塩分濃度よりも濃いために、温泉成分が浸透しやすく、体の芯までしっかりと温まります。

鎌倉時代から続く有馬温泉最古の宿

「陶泉 御所坊」は鎌倉時代から続く有馬温泉最古の宿。歌人として有名な公卿・藤原定家や室町幕府第3代将軍・足利義満、豊臣秀吉、伊藤博文、与謝野晶子、谷崎潤一郎など数々の為政者や文人墨客が逗留(とうりゅう)しました。近年では、美術作家の綿貫宏介(わたぬきひろすけ)と深い関わりをもち、施設全体を通して趣ある唯一無二の世界観が表現されています。

金泉のかけ流し温泉と源泉蒸し湯

ダミーイメージ

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大浴場「金郷泉(こんごうせん)(冒頭写真)は、入口から内湯部分は男女別になっており、半露天風呂はユニークな半混浴スタイルで赤褐色の金泉の源泉をかけ流しにしています。洞窟のような通路から徐々に温泉が深くなっていき、にごり湯の温泉に浸かりながら半露天風呂(写真)へと進みます。にごり湯なので浸かった部分は見える心配はありません。奥中央にある岩壁と竹の棒で男女が区切られ、岩陰で姿は見えずとも声や気配だけを感じたり、和気あいあいと家族で声をかけあったりして楽しめます。泉質は含鉄-ナトリウム-塩化物強塩温泉、pH6.31の中性。肌当たりはやわらかく感じますが、成分が濃く、全身の血がじんじんと巡って骨の髄までぬくもりが届くようです。

2024年には改装により源泉を使った蒸し風呂が誕生しました。男性風呂の源泉蒸し風呂の隣には天井から降り注ぐレインシャワーが設けられました。女性風呂の源泉蒸し風呂(写真)はアーチ型天井の広々とした空間です。入浴するだけでなく蒸し風呂でじっくり温まれば、体中にひたひたと源泉パワーが染み入ってくるようです。

プライベート金泉付きのプレミアムスイート

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プレミアムスイート「心楽」の「-GU(グウ)-502号室は、御所坊らしい遊び心あふれる空間。隠れ家に入るような入口の仕掛けに始まり、出窓のようなリビング(写真)、しっかり仕事もできるデスクの書斎(写真)、調光機能が付いた女優ミラーのあるメイクルームや宝探しのような気分を味わえる隠し部屋まであります。

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和室8畳(写真)のほかにベッドルームがあって5名まで泊まれるので、家族や友人と過ごすのもおすすめです。客室専用温泉の深くてたっぷりした湯船に注がれるのは、金泉の源泉かけ流し(写真)です。客室専用サウナもあり、デッキの“整い椅子”でのんびりくつろいだら、また温泉へ……。朝起きたらベッドから数メートル歩くだけで温泉に浸かることができるため、プライベート空間で存分に温泉時間を満喫できます。

夕食は温泉街を歩いて「料膳 旬重」へ

有馬温泉では、温泉街の寿司店へ行ったり、イタリアンを食べたり、居酒屋へ繰り出したりと食の選択肢が多いのも魅力のひとつです。この宿では、そうした食事を自由に楽しんでもらうための泊食分離プランも用意しているので、予約時に選ぶことが可能です。宿での食事ももちろんよいのですが、今回の夕食は温泉街を少し歩いて、御所坊が経営するカウンター割烹「料膳 旬重へ。料理人たちが活躍する様子を眺めながらカウンターで味わう夕食がとても楽しい店です。

御所坊は神戸の旅館で唯一、明石浦漁港への出入りを許されている宿で、料理長自ら魚を厳選して仕入れています。この日のお造りは、炭火で皮目を炙って仕上げたもの(写真)。炭の焼き場が目の前にあり、メインの「兵庫産豚肉の炭火焼き」(写真)は表面がパリッと芳しく、噛みしめると、じんわりとうまみが広がります。飼料や飼育方法にこだわった稀少な牛肉「但馬玄(たじまぐろ)」のコースもおすすめです。

丹波黒豆の湯豆腐・須磨浦沖の焼きのり

御所坊の朝食(写真)は、とても豊かな気持ちになります。白い湯気があがっている丹波黒豆の湯豆腐に、削りたての鰹節をのせて味わうと豆のコクと甘みが口いっぱいに広がります。地元須磨浦沖の焼きのりは豆炭で温められていてパリパリ。兵庫県の農家が育てた有機栽培米のごはんと一緒にしみじみと味わう、幸せな朝食です。

(*データ)

「陶泉 御所坊」とうせん ごしょぼう

  • 住所 兵庫県神戸市北区有馬町858
  • 電話番号 078-904-0551(9:00AM~6:00PM)
  • 料金 おひとり様1泊2食付31,100円~、温泉・サウナ付きプレミアムスイート「心楽」「-GU(グウ)-」1泊2食付90,200円~、1泊朝食付79,800円~(すべて2名1室利用時・サービス料込、入湯税150円別)
  • 公式サイト https://goshoboh.com/

   

(*著者プロフィール)

いしい ひろこ●旅行作家・温泉ビューティ研究家。年間200日ほど国内外の温泉を旅する。雑誌や新聞などに旅コラムを書き、テレビ・ラジオにも出演。温泉や食、自然環境を通じて美しくなる“ビューティツーリズム”を研究。杏林大学温泉療養学兼任講師、国際中医師、日本温泉科学会代議員、日本温泉気候物理医学会会員、カリスマ温泉ソムリエ。著書に『感動の温泉宿100』(文藝春秋)、『新・温泉ビューティ』(グリーンキャット)ほか。

https://www.onsenbeauty.com/

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