【新潟県・村杉温泉「長生館」】夏の疲れをいやせる “冷たい温泉”
温泉
2025/08/08
温泉は、生きている地球の力が詰まった恵みの泉。四季のある美しい日本を訪ねて、その土地ならではの温泉に入り、身も心もいやされる旅へ。“カリスマ温泉ソムリエ” 石井宏子さんが、いまこそ出かけたい旬の湯宿をご紹介します。

- 取材・文/石井宏子(旅行作家・温泉ビューティ研究家)

- 新潟県
夏は冷たい温泉が恋しい季節。今回ご紹介するのは新潟県阿賀野市にある村杉温泉の宿です。ここは、開湯700年の歴史ある温泉地で、全国有数のラドン含有量を誇る温泉が自噴しています。源泉温度は約26度で、40度ほどの適温に温めた湯船と、冷たい源泉をそのままかけ流しにしている湯船があり、温泉で温まったら、冷たい源泉でクールダウンと「温冷交互浴」が楽しめるのが特徴。ひんやりとした湯に包まれる感覚は、一度入れば虜になる気持ちよさです。
4000坪の大庭園を囲むように立つ宿
JR新潟駅から宿の無料送迎バスで約45分。米どころ新潟を感じさせる田んぼが広がるなかをひた走り、五頭連峰(ごずれんぽう)のふもとに点在する五頭温泉郷のひとつ、村杉温泉に到着です。同地で温泉旅館を営む「長生館(ちょうせいかん)」は、約4000坪の大庭園(写真)を有し、湯あがり散歩も楽しみな宿。夜には幻想的な夏の風物詩「鎮守の森の竹灯り」や庭園ジャズライブなどのイベントが行われる日もあります。豊かな森の緑を眺めながら広縁で過ごせる客室(写真)も居心地がよく、猛暑のなかでがんばった心身の休息にぴったりです。
ラジウム温泉の恩恵を享受する入浴法
村杉温泉の泉質は単純放射能泉。この土地にあるラジウムから発生する微量のラドンを含んだ湯で、「ラジウム温泉」と呼ばれています。入浴(入る)に加えて、飲泉(飲む)、吸入(吸う)を相乗させていくことで、体の外からも内側からも温泉の恩恵を取り入れられるという独特の入浴法がこちらの伝統。館内には温泉を飲める「飲泉所」(写真)があり、入浴前後の水分補給に冷たい温泉を飲んだり、お茶やコーヒー、料理などに活用したりしています。
男女別の大浴場は広めの内風呂(写真)と開放的な露天風呂。内風呂はややぬるめでいやされる温度です。まずは、ここで湯に身をゆだねて体のコリや疲れを緩めましょう。湯船では首まですっぽり湯に浸かり、ゆっくりと深呼吸。気体となって浮遊するラドン成分を皮膚からも呼吸からも取り入れてチャージします。
内風呂から庭園大露天風呂(冒頭写真)へはトンネルを通って向かいます。緑いっぱいの庭園のなかにある開放的な岩風呂です。大きな湯船は加温した温かな温泉、こちらに入って少し汗がにじんできたら、小さい湯船の冷たい温泉(写真)へ。約26度の源泉100%かけ流しで、最初は冷たいと感じますが、入ってしまえばパラダイス。ひんやりとした湯の感触がたまらなく心地よくて「夏こそ冷たい温泉ですね」なんて言いたくなります。ふたつの湯船を行ったり来たりしながら「温冷交互浴」をすることで、血行を促進させて夏の疲れを吹き飛ばしましょう。
3つある貸切露天風呂のひとつ「森の癒し湯」

プライベートな時間を存分に過ごしたいときは、貸切露天風呂へ。趣の異なる3つの貸切温泉は、チェックイン後に予約が可能です(有料)。湯小屋へと向かう庭の回廊(写真)では野鳥のさえずりが響き渡り、歩いているだけでもワクワクしてきます。貸切露天風呂のひとつ、「森の癒し湯」にある八角形の湯船(写真)は、村杉温泉の岩盤石で作られたもの。岩盤浴と温泉浴のダブルでラジウム浴ができるような湯船です。ざぶーんと浸かると、たっぷり注がれた温泉があふれ出てぜいたくな気分になります。
朝どれ有機野菜をはじめとした五頭の幸を満喫
この宿で供されるのは、五頭の季節を愛でた料理です。桜の季節に行ったときの前菜は桜鯛の昆布締めを使った手毬寿司をはじめタケノコや鶏つくね、鮑のしんじょを花見だんごに見立てた「花見串」など(写真)。左上は宿の名物料理のひとつ「五頭山麓牛乳豆腐」です。地元安田地区の新鮮な牛乳で作る豆腐は、もっちりとした食感とクリーミーな味わいがモッツァレラチーズのようでもあり、口に入れるとふわっと溶けてゆく食感が豆腐のようでもあり、なんともいえずおいしいのです。
お造りは、マグロ、カンパチ、ヒラメ、帆立、南蛮海老(写真)。新潟の海の豊かさをしみじみと味わいながら地酒がすすみます。「天然鮑のラジウム源泉蒸し」(写真)は、踊り焼きならぬ踊り蒸し。踊る鮑が逃げ出しそうで心配になるほどでした。温泉で蒸された鮑は、ふっくら軟らかぷりぷりになって絶品です。
この宿のうれしいところは、宿泊プランの豊富さ。気軽に泊まれるプランから、旬の美食も楽しめるプランや専用露天風呂の離れで過ごせるプラン、特別な旅ができるプランなど、多数のバリエーションから、そのときの気分や目的に合ったものを選べるのです。
さて、食後の休憩をしたら、温冷交互浴をしてクールダウン。今夜はぐっすり眠れそうです。
(*データ)
村杉温泉「長生館」むらすぎおんせん「ちょうせいかん」
- 住所 新潟県阿賀野市村杉4632-8
- 電話番号 0250-66-2111(10:00~21:00
- 料金 おひとり様1泊2食付18,810円~(2名1室利用時・消費税込・入湯税150円別 ※貸切露天風呂は1カ所1回40分2,000円(チェックイン後に予約可能)
- 公式サイト https://www.chouseikan.co.jp/
(*著者プロフィール)

いしい ひろこ●旅行作家・温泉ビューティ研究家。
年間200日ほど国内外の温泉を旅する。雑誌や新聞などに旅コラムを書き、テレビ・ラジオにも出演。温泉や食、自然環境を通じて美しくなる“ビューティツーリズム”を研究。杏林大学温泉療養学兼任講師、国際中医師、日本温泉科学会代議員、日本温泉気候物理医学会会員、カリスマ温泉ソムリエ。著書に『感動の温泉宿100』(文藝春秋)、『新・温泉ビューティ』(グリーンキャット)ほか。









