美しい体をつくる“美肌の湯”
熊本県・黒川温泉「旅館 山河」
温泉
2023/08/16
温泉は、生きている地球の力が詰まった恵みの泉。四季のある美しい日本を訪ねて、その土地ならではの温泉に入り、身も心もいやされる旅へ。“カリスマ温泉ソムリエ”石井宏子さんが、いまこそ出かけたい旬の湯宿をご紹介します。

- 取材・文/石井宏子(旅行作家・温泉ビューティ研究家)

- 熊本県
夏から秋へと向かう時季におすすめしたいのが“美肌の湯”です。紫外線や冷房など、夏に肌や体が受けたダメージを引きずったまま秋に突入。気がつけば、目まぐるしく変わる秋の気候に振り回されて、乾燥や衰えを感じたり、自律神経の調整がうまくいかなくなったり……。そんなとき、美肌の湯は肌だけでなく体の調子も整えてくれます。肌と体のバランスをとりながら、新陳代謝を上手に促してくれる美肌の湯に浸かり、おいしい食事を満喫する。そんな旅がおすすめです。
2種類の源泉をさまざまな温泉で愉しむ
熊本県にある黒川温泉は、多彩な泉質を湯巡りできる楽しさが魅力です。今回紹介する「旅館 山河(さんが)」は、3000坪の敷地内に露天風呂、内湯、貸切風呂が点在し、ひとつの宿で2種類の源泉を愉しめます。露天風呂(冒頭写真)や貸切風呂(写真)は、霞(かすみ)がかかったようにほんのりと薄濁りの湯。鳥の声や涼やかな風を感じながら入れる心地よい温泉です。肌の表面に溜まった古い角質を落としてなめらかに整える炭酸水素塩泉と、しっとりと潤いを与える硫酸塩泉、塩の被膜でぬくもりを逃がさない塩化物泉をバランスよく含有している“マルチ美肌の湯”です。
そして、もう1種類の源泉は、敷地内で湧出する源泉を見ることができ、母屋から廊下を抜けた離れにある内湯「薬師の湯」に、混合泉として利用されています。泉質は単純硫黄泉で鉄分を含有し、しっとりと肌を包み込むような感触。硫黄の作用で血行を促進して、肌や体の新陳代謝を後押ししてくれます。ややぬるめにたたえられた内湯は、ゆっくりと浸かることで心身ともにいやされ、乱れがちな自律神経を整えて心地よい睡眠をもたらしてくれるでしょう。
月見台でビールか? 談話室でゆっくり読書か?
旅館 山河は、黒川温泉の温泉街から少し離れた場所にあり、静かな山里の雰囲気が漂っています。部屋は、切石風呂の温泉付きの和室や、ベッドルームと露天風呂がある離れもあり、旅の目的によって選ぶことができます。
湯あがりにのんびりできる場所もたくさん用意されています。海外からのゲストも多く、月見台(写真)のパラソルの下で、浴衣を着てビールを楽しんでいる姿もよく見かけます。ロビーの喫茶コーナーでは、小国町(おぐにまち)のジャージー牛乳やコーヒー、オーガニックなハーブティー、ワインやビールも注文できるほか、ゆったり過ごしたいときは談話室(写真)で読書をしたり音楽を聴いたりするのも、心身のリセットになることでしょう。
阿蘇南小国の旬にこだわった美しい料理

温泉の後の愉しみは、なんといってもおいしい食事。地元小国郷の野菜をふんだんに使って丁寧に作られた料理は、ひとつひとつの素材がしみじみと味わい深い。阿蘇のあか牛ステーキや熊本名産馬刺し、ヤマメの塩焼き(写真)も登場して、地酒にもぴったり。特筆すべきは、朝ごはん(写真)。おかみ特製のコールドプレスジュースで体を目覚めさせ、地元でとれるオーガニック野菜を使用した蒸し野菜でほっこり温まり、郷土料理をお供に小国米を味わう……。体のなかに元気がふつふつと湧いてくる最高の食事です。
(*データ)
黒川温泉「旅館 山河」 くろかわおんせん「りょかん さんが」
- 住所 熊本県阿蘇郡南小国町満願寺6961-1
- 電話番号 0967-44-0906
- 料金 おひとり様1泊2食付18,700円~(2名1室利用時・サービス料込・入湯税150円別)
- 公式サイト https://www.sanga-ryokan.com/
(*著者プロフィール)

いしい ひろこ●旅行作家・温泉ビューティ研究家。年間200日ほど国内外の温泉を旅する。雑誌や新聞などに旅コラムを書き、テレビ・ラジオにも出演。温泉や食、自然環境を通じて美しくなる“ビューティツーリズム”を提唱。杏林大学温泉療養学兼任講師、国際中医師、日本温泉科学会代議員、日本温泉気候物理医学会会員、カリスマ温泉ソムリエ。著書に『感動の温泉宿100』(文藝春秋)ほか。https://www.onsenbeauty.com/









