Web限定連載
美しき世界遺産
Vol.8

【オーストラリア連邦】パヌルル国立公園

旅行

2025/12/12

地球の鼓動が伝わってくるようなダイナミックな自然遺産、太古から現代まで、人の営みを物語る文化遺産。ユネスコの世界遺産のなかから、一度は見てみたい魅力あふれる世界遺産をご紹介します。

ライター
文/佐道眞左 写真提供/西オーストラリア州政府観光局
エリア
オーストラリア

オーストラリア大陸の西側約3分の1を占める広大な西オーストラリア州。その北部の町ブルームと、隣のノーザンテリトリー州との間に広がるキンバリー地域は、手つかずの自然に満ちあふれた絶景の宝庫だ。なかでも西オーストラリア州最後の秘境ともいわれるのが、バングルバングルを擁する「パヌルル国立公園」(冒頭写真)。わずか四十数年前まではほとんど知る人もいなかった場所に、まるで異世界を思わせるような、不思議な風景が広がっている。

撮影クルーに“発見”された、知られざる大絶景

ダミーイメージ

キンバリー地域に約24万haにわたって広がるパヌルル国立公園は、神秘的な縞模様の山脈・バングルバングルで知られる場所。国立公園に立ち入ることができるのは、乾季になり川が干上がる4~11月の間だけ(天候や道路の状況による)。雨季には洪水などで道路が寸断されてしまう。個人でのアクセスは難しく、ツアーに参加して、4WD(写真)やセスナ機(写真)などで訪れるのが一般的だ。だが、それだけに、太古の地球はかくやと思わせるオーストラリアならではの絶景に出合うことができる。

サバンナ草原に囲まれたバングルバングルは、先住民アボリジナルなど、ごく限られた人々にしか知られていなかった秘境中の秘境。なんと、映像を撮影中のクルーによって“発見”され、1983年に驚きをもって世界に紹介された。

太古の地殻変動を物語るハチの巣のような奇岩群

無数の岩のドームが迷宮のように広がり、上空から見ると、まるで巨大なハチの巣(ビーハイブ)のようにも見えるバングルバングル(写真)は、太陽の光を受けて、その色合いや影の形など、表情を刻々と変えていく。約3億5000万年前に山から流れる雨水により砂や泥が運ばれ、堆積してできた砂岩が地殻変動で隆起し、さらに約2000万年にわたり風雨に侵食されて、ドーム型の奇岩群ができたといわれている。独特の縞模様は、鉄分を多く含み、乾燥が早いため、藍色細菌と呼ばれるバクテリアが繁殖しにくいオレンジ色の砂の層と、バクテリアが繁殖しやすい黒色の粘土質の層が織り成すもの。この奇岩群が比類なき規模で広がっていること、カルスト地形の優れた例であることなどが評価され、パヌルル国立公園は2003年に世界自然遺産に登録されている。

上空からとウォーキングで満喫する自然の造形美

この地では、4万年以上前からアボリジナルが暮らしていたといわれ、公園内にはアボリジナルの古代の岩絵や埋葬地などが残っている。ぜひ楽しみたいのが上空からの眺め。太古の地殻変動の痕跡がむき出しで残る壮大な風景は感動的だ。ピッカニニー川の川床は、乾季には干上がってウォーキングルートとなる。砂岩ドームを望むピッカニニー・クリーク・ルックアウト、砂岩ドームの奥、カテドラル渓谷の終点に円形劇場のような巨大空間が広がるカテドラル・ゴージ(写真)などをウォーキングで訪ね、自然の造形美を満喫したい。

観光の拠点となる町・ブルームでの楽しみも

パヌルル国立公園の観光の拠点となるのは、西オーストラリア州北部最大の町・ブルームや、キンバリー地域の東の玄関口・カナナラ。とはいえブルームは公園の約870km西、カナナラは約300㎞北とそのスケールは桁違い。陸路での移動が容易ではないからこそ、秘境感が残っているともいえるだろう。ブルームは1880年代から、貝殻を使ったボタンの原料になる真珠貝の採取で栄え、日本からも多くの人々が移り住み、ダイバーとして真珠産業の発展に尽くした。日本にゆかりのスポットなどを訪ねた後は、インド洋に面した遠浅のケーブルビーチで、ラクダの背に揺られながら夕景を楽しむキャメルライド(写真)もぜひ楽しみたい。

 

(*世界遺産データ)

パヌルル国立公園
Purnululu National Park

●登録 2003年/自然遺産
●所在地 オーストラリア連邦西オーストラリア州

 

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