【ベトナム社会主義共和国】フエの建造物群/古都ホイアン
旅行
2025/11/26
地球の鼓動が伝わってくるようなダイナミックな自然遺産、太古から現代まで、人の営みを物語る文化遺産。ユネスコの世界遺産のなかから、一度は見てみたい魅力あふれる世界遺産をご紹介します。

- 文/佐道眞左 写真/富井義夫

- ベトナム社会主義共和国
143年にわたって繁栄したグエン朝。かつてその王都が置かれたフエと、東西交易で栄えた港町・ホイアン。ベトナム中部にあるふたつの個性的な世界遺産の街を巡ってみよう。
ダナンから巡りたいふたつの世界遺産

ベトナム中部のリゾート・ダナン。ここを拠点に楽しめるふたつの世界遺産がフエとホイアンだ。ベトナム最後の王朝・グエン朝の城塞や王宮(冒頭写真)など華麗な建築群(写真)が残るフエは、アジアの封建社会に見られる首都の優れた例として、1993年にベトナムで初めて世界文化遺産に登録された街。一方ホイアンは、各国の文化が融合した国際的商業港であったという点や、伝統的なアジアの貿易港がよく保存されていることから、1999年に世界文化遺産に登録された。
ベトナム最後の王朝・グエン朝の都、フエ


16世紀から19世紀初めまでの間、南北に分かれて対立していたベトナムを、1802年にザーロン帝が統一し、グエン朝の時代が始まった。フエは1945年まで続いたグエン朝の首都となり、フォン川の河畔に城郭が築かれた。城壁の周りには濠が巡らされ、城郭内には中国・北京の紫禁城を4分の3に縮小した中国風の王宮が建てられた。ベトナム戦争で多くの建物が破壊されたが、城壁内には王宮のほか、重要な儀式が行われた太和殿(たいわでん)や、グエン朝の歴代皇帝の位牌を祭る世祖廟(せいそびょう)とその前閣の顕臨閣(けんりんかく)、五鳳凰樓(ほうおうろう)をいただく午門(王宮門、写真)などが残っている。またフエ郊外には、ミンマン帝陵(写真)、カイディン帝陵など、皇帝ごとの好みが反映されたグエン朝の歴代皇帝陵がある。華麗な建築群が残るフエは〝ベトナムの京都〞とも呼ばれている。
さまざまな文化が交差する港町、ホイアン

ホイアンは、15〜19世紀にはアジアやヨーロッパとの交易の中心地として栄え、朱印船で日本の貿易商も行き来した港町。16〜17世紀には日本人街が造られ、最盛期は1000人以上の人が暮らしたとか。
2万ドン紙幣の絵柄にも使われている、旧市街の来遠橋(らいえんばし、日本橋)(写真/PIXTA)は1593年に日本からの移住者が架けたもので、後に基礎以外は中国風に再建されている。現在の町並みは江戸幕府による鎖国のため、日本人街が衰退した後にホイアンに移住した中国の人々(華僑(かきょう))によって造られたもので、福建會舘など鮮やかな彩色の会館(集会場)が数多く残る。
夜はランタンに彩られるノスタルジックタウン


世界遺産の旧市街はノスタルジック。夜は街じゅうにランタンの明かりが点り(写真)、来遠橋がライトアップされるほか、毎月旧暦14日に開催される「ランタン祭り」や毎夜開催されるナイトマーケット(写真)などで、昼間とは違った風情を楽しめる。
歴史ロマンが薫る古都フエは、ダナンから観光列車で約3時間。どこか懐かしい港町ホイアンは、ダナンから車で約45分。ダナンを拠点に、ふたつの世界遺産を巡りたい。
(*世界遺産データ)
フエの建造物群
Complex of Hué Monuments
●登録 1993年/文化遺産
●所在地 フエ市
古都ホイアン
Complex of Hué Monuments
●登録 1999年/文化遺産
●所在地 ダナン市
※本記事は、『J-B Style25冬号』(P56~58)を転載しています。








