【オーストリア共和国】ウィーン歴史地区
旅行
2025/09/12
地球の鼓動が伝わってくるようなダイナミックな自然遺産、太古から現代まで、人の営みを物語る文化遺産。ユネスコの世界遺産のなかから、一度は見てみたい魅力あふれる世界遺産をご紹介します。

- 文/佐道眞左 写真/富井義夫

- オーストリア共和国
ドナウ川沿いに広がるウィーンは、ハプスブルク家の本拠地として発展し、音楽や絵画をはじめ、芸術が花開いた街。環状道路・リングシュトラーセ(以下、リング通り)に囲まれた旧市街(写真はウィーン国立歌劇場とリング通り)には、ハプスブルク家の栄華を物語る遺産が集まっている。
ハプスブルク家の栄華を象徴する華麗なる歴史都市


オーストリアの首都であり、芸術の都として知られるウィーンの歴史は紀元前後までさかのぼる。この街が大きく発展したのは、スイスの貴族・ハプスブルク家が13世紀に本拠地を移したのが始まりだ。19世紀にオーストリア=ハンガリー二重帝国を築いたフランツ・ヨーゼフ1世が街の大改造に着手。城壁や濠(ほり)を取り壊して全長約5㎞の環状道路(リング通り)を築き、通り沿いにはウィーン国立歌劇場や市庁舎(写真)、国会議事堂(写真)などの華麗な建物が次々と建てられた。ウィーン歴史地区は、2000年以上にわたる都市の発展が見られる点や、中世、バロック、19世紀の建造物群、音楽の都として重要な役割を果たしてきた点などが評価され、2001年に世界文化遺産に登録された。
街のシンボル、ウィーン国立歌劇場とシュテファン大聖堂

モーツァルトやベートーヴェンなど偉大な音楽家を輩出した音楽の都・ウィーンを訪れるなら、ぜひ鑑賞してみたいオペラ。毎年9月上旬から6月下旬までの間、ウィーンのどこかの劇場でほぼ毎日上演される。1869年にモーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』がこけら落としとなったウィーン国立歌劇場(写真)は、パリのオペラ座、ミラノのスカラ座に並ぶ世界三大オペラ劇場のひとつ。ウィーン国立歌劇場から、目抜き通りのケルントナー通りを約700m進んだ街の中心部に立つのが、街のシンボルともいえるシュテファン大聖堂だ。1147年にロマネスク様式の教会として建てられ、14世紀以降に後期ゴシック様式に改築されたこの聖堂には、ハプスブルク家の人々の内臓が入った壺や、ペストによる犠牲者約2000人の骨が納められたカタコンベ(地下墓地)などがある。
歴代皇帝が暮らした荘厳な宮殿


シュテファン大聖堂南塔の展望台から街の眺望を楽しんだら、高級ブティックが立ち並ぶコールマルクト通りを抜け、ホーフブルク(王宮)(写真)のミヒャエル門に到達する。ホーフブルクは13世紀ごろから建築が始められ、1918年までハプスブルク家歴代皇帝の居城とされてきた。増改築が繰り返されたため、さまざまな建築様式が混在するのも興味深い。最も古い部分のスイス宮をはじめ、旧王宮、新王宮、ふたつの庭園、王宮付属の教会、国立図書館、スペイン乗馬学校などがある。旧王宮にはフランツ・ヨーゼフ1世と皇妃エリザベート(愛称シシィ)が暮らした皇帝の部屋(写真)が公開されているほか、エリザベートの生涯をたたえたシシィ博物館などもあり、ハプスブルク家の人々の暮らしを知ることができる。また、新王宮にはエフェソス博物館など多くの博物館がある。
世紀末芸術やカフェ文化にふれる街歩き


ほかにもリング通り沿いには建築家オットー・ワーグナーの傑作として知られる郵便貯金局、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地・楽友協会(写真)、ネオ・ルネサンス様式の同じ外観の建物が向かい合って立つ美術史博物館と自然史博物館など、19世紀建築の堂々とした建築物が立ち並び、圧倒される。また、リング通りとウィーン中央駅の間には、ハプスブルク家に仕えた貴族・オイゲン公が建てた夏の離宮、ベルヴェデーレ宮殿があり、上宮の絵画館では、クリムトほか世紀末芸術の代表作などを鑑賞できる。一方で、カフェ文化発祥の地でもあるウィーン。世界遺産巡りの途中には、歴史あるカフェでくつろいだり、音楽家の像が点在する公園を散策したり、観光馬車のフィアカー(写真)に揺られたりといった楽しみも待っている。
(*世界遺産データ)
ウィーン歴史地区
Historic Centre of Vienna
●登録 2001年/文化遺産
●所在地 オーストリア共和国ウィーン州








