Web限定連載
美しき世界遺産
Vol.2

【インド】タージ・マハル

旅行

2025/06/12

地球の鼓動が伝わってくるようなダイナミックな自然遺産、太古から現代まで、人の営みを物語る文化遺産。ユネスコの世界遺産のなかから、一度は見てみたい魅力あふれる世界遺産をご紹介します。

ライター
文/佐道眞左 写真/富井義夫
エリア
インド

中世インドのイスラム国家・ムガール帝国5代皇帝が、最愛の妃の死を悼んで建てた白亜の霊廟「タージ・マハル」(冒頭写真)。莫大な国費を費やし、贅の限りを尽くした白大理石の美しい霊廟には、哀しい愛の物語が秘められていた。

愛する王妃のための美しい墓

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インドの首都・ニューデリーから南東へ約200㎞のところに位置する古都・アーグラーに、白亜の霊廟タージ・マハルがある。16世紀に北インドで興り、19世紀半ばまで続いたインド史上最大のイスラム教徒による王朝・ムガール帝国の5代皇帝、シャー・ジャハーンが、亡き妻ムムターズ・マハルを弔うために建てた壮麗な墓だ。

領土を拡大し、帝国の最盛期を築きあげたシャー・ジャハーンは、たいへんな愛妻家だった。夫妻はいつも一緒に過ごし、10人以上の子どもをもうけたが、王妃は1631年に、30代の若さで亡くなってしまう。悲しみに暮れた皇帝は、ヤムナー川のほとりに、王妃のための霊廟タージ・マハルを建てた。20年以上の歳月と国の財政が傾くほど巨額の費用をかけて造られたといわれるその建築は、贅の限りを尽くしたもので、インド建築の最高峰といわれている。

完璧なシンメトリーへのこだわり

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東西約300m、南北約560mの敷地に立つタージ・マハルは、シンメトリーにこだわってデザインされている。メインゲートは南側の大楼門(写真)。赤砂岩でできた門にはアーチ形の飾り窓やチャトリ(小塔)が配されている。白大理石と黒大理石でコーランの一節が刻まれたアーチをくぐると、その先にチャールバーグと呼ばれるペルシャ式庭園が広がる。約300m四方の庭園はイスラム経典「コーラン」に記されている「天国の楽園」をモチーフにしていて、水路によって4分割されたうえ、そのなかがさらに園路によって4分割されている。庭園の先に立つのが、高さ約70mの白亜の霊廟だ。霊廟の左右に立つ、同じデザインの建物は赤砂岩でできていて、白大理石の霊廟を引き立てている。霊廟に向かって左手がモスクで、右手が迎賓館(写真)だ。

宝石をちりばめた精緻な装飾

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巨大なドームが美しい霊廟は、4本のミナレット(尖塔)に守られるように立っている。世界中から職人が集められ、西インドのマクラーナでとれた良質な白大理石を使って建てられた。浮彫や透かし彫のほか、中国の翡翠や水晶、スリランカのサファイアなど、世界中から集めた宝石を埋め込んだ花や唐草模様、黒大理石の象嵌(ぞうがん)細工によりコーランの一節を記したカリグラフィー(コーランの書体)などが施されている。高度な技術によるこれらの装飾(写真)は気が遠くなるほど精緻で、その繊細な美しさに魅了される。

乳白色の白大理石の建物は天候や時間帯により刻々と表情を変える。暑い日中を避け、朝日や夕日に染まる姿を眺めるのもいいだろう。満月の前後には特別に夜間入場できる。月明かりに照らされた青白く幻想的な霊廟もまた美しい。

幽閉された晩年の元皇帝

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建設費を使い過ぎたシャー・ジャハーンは、晩年、息子に帝位を奪われ、74歳で没するまで、ヤムナー川岸に立つ世界遺産アーグラー城塞(写真)の塔に幽閉された。亡き王妃をしのび、塔の窓からタージ・マハルを眺めて過ごしたという。シャー・ジャハーンは、ヤムナー川の対岸にタージ・マハルと同じ形の黒大理石の霊廟を建て、死後はそこに葬られることを望んでいたが、その願いがかなえられることはなかった。夕暮れ時にヤムナー川の対岸に立てば、暮れなずむ空を背景にしたタージ・マハルのたたずまいが旅情をそそる(写真)。

ひんやりとした空気が漂うタージ・マハルの霊廟内部には、ムムターズ・マハルの棺と、シャー・ジャハーンの棺が並べて置かれている(これらはレプリカで、本物の棺は地下の墓室に安置されている)。タージ・マハルは1983年には世界遺産となり、ムガール帝国の繁栄を物語る白亜の霊廟の完璧なまでの美しさは、切ない愛のエピソードとともに、多くの人の胸を打ち続けている。


(*世界遺産データ)

タージ・マハル
Taj Mahal

  • 登録 1983年/文化遺産
  • 所在地 インド ウッタル・プラデシュ州アーグラ

 

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