Web限定連載
藤原暢子のクルーズレッスン
Vol.4

【最終回】クルーズでは船外体験も超重要! ~寄港地ツアー満喫のヒント

旅行

2026/09/11

「船旅」という言葉には冒険心をくすぐられるものの、「クルーズは高嶺の花」というイメージをもっている人も多いのでは? そんな人こそ必見。本連載は、これまでに140隻以上の客船に乗船し、クルーズを熟知したジャーナリスト・藤原暢子さんによる全4回のクルーズ講座です。クルーズ旅行を本気で検討したい人のために、第4回(最終回)は、寄港地ツアーを120%楽しむためのヒントをご紹介します。

ライター
文/藤原暢子 写真提供/ミキ・ツーリスト(ロイヤル・カリビアン・インターナショナル/セレブリティクルーズ)、藤原暢子
エリア
クルーズ

まず知っておきたい、寄港地ツアーについて

クルーズの楽しみは、船内だけではありません。クルーズだからこそ行けるさまざまな国や地域で、下船して寄港先での旅を楽しまないともったいない……そんなときは、「寄港地ツアー」をぜひ活用しましょう(冒頭写真はアメリカの「メンデンホール氷河」/セレブリティクルーズ)。多くのクルーズでは、船会社主催の寄港地ツアーをいくつか用意しており、乗客は乗船前や乗船後にそのツアーに申し込んで参加する(有料)というのが基本の流れです。当日は客室に届けられるチケットを持って、集合場所(船内や船を降りたところにあるバス乗り場など)に行き、ツアーバスに乗り込みます(写真)。
寄港地や客船にもよりますが、メジャーな観光地を大まかに巡るツアーのほか、歴史、自然、グルメなど、好みに合わせて選べるツアーが5〜8種類ほど用意されています(写真はメキシコの「コバ遺跡」/ロイヤル・カリビアン・インターナショナル)。所要時間は半日~1日のものがあり、自分の好みの内容から選択できます。またラグジュアリー客船では、遺跡のなかでのコンサートなど、普通では体験できない「特別ツアー」(無料が多い)を用意している場合があるので、見逃さないようにしましょう。

ここ10年でガラリと変わったツアー内容

近年は有名観光地巡りにこだわらない乗客も増え、その要望に応える形で、ここ10年ほどの間に、寄港地ツアーの内容が大きく変化しています。船会社側も、リピーター対策、オーバーツーリズム対策のほか、コロナ禍での対応により少人数制のツアーを組むようになったことから、ツアーの内容が“少人数でよりニッチな体験”ができる旅へと変化してきました。例えば「料理人と市場を歩く」(写真)、「酒蔵やワイナリーを訪ねる」など、食を通じた地域体験や、「現地の職人の工房を訪ねて伝統工芸を体験する」、「農家や漁師を訪ねる」など、地域の暮らしにふれるツアーもあります。ほかにも建築、アート、庭園、お酒、写真など、少人数でひとつのテーマを深く掘り下げるツアーや、環境に配慮して徒歩や自転車、電気自動車などを利用して巡る(写真/セレブリティクルーズ)といった、地域を深く体験する寄港地ツアーが増えているのです。

クルーズはまさに、“味見の旅”です!

私がこれまでに参加して印象に残っているのは、ドイツ・ハンブルクで老舗のパン店に行き(写真)、名物のパン「フランツブロートヒェン」を食べるという寄港地ツアーです。 後日談ですが、パンのおいしさや街の美しさがずっと心に残り、数年後には、1週間ほどハンブルクに滞在して、毎日朝食にフランツブロートヒェンを買いに行きました。クルーズはよく “味見の旅”(長く滞在できないため、寄港地で気に入った場所があったら、次の機会にゆっくり訪ねてくださいという意味)といわれますが、まさしくそれを実践したことになります。ほかにも、イタリア・ナポリではピザ店を訪れピザ作りを体験したこともありました(写真)。メジャーなローマではなく、廃虚のような街、チヴィタ・ディ・バニョレージョを訪ねるという比較的珍しいツアーも興味深い体験でした。

“その土地を感じられる”ツアーで思い出を

クルーズの乗船前に寄港地がわかったら、その土地の名物料理、歴史や芸術、地元ならではの体験など、自分が何をしたいかを考えて調べてみて、ぜひ興味に合った内容の寄港地ツアーに参加してみましょう(写真はイタリア・カプリ島の「青の洞窟」/ロイヤル・カリビアン・インターナショナル。アイルランド・コークの「イングリッシュ・マーケット」)。その土地ならではの体験をしたり、地元の人と言葉を交わしたり……。路地の風景や街の匂い、音にも意識を向けると、短い滞在でもその土地の日常や個性が感じられ、きっと印象に残る一日になります。

これまで4回の連載をとおして、クルーズの“いま”をご紹介してきました。自分に合ったクルーズを上手に選んで、そこでしか味わえない旅の魅力を体感すれば、きっとまた次のクルーズの旅に出かけたくなるはずです。

(*著者プロフィール)
藤原暢子(ふじわらのぶこ)●クルーズジャーナリスト。クルーズ専門誌『CRUISE』元編集長。父は元船医。1998年に英国の客船で世界半周したのを機に、船旅に魅了される。現在はさまざまなメディアで国内外のクルーズの魅力を発信・紹介。これまでに、140隻以上の外国船・日本船・フェリーに乗船し、80ヵ国以上を巡る。

※掲載内容は、2026年8月時点の情報です。

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