時代はスマート・カジュアル ~船内ファッション最新事情は?
旅行
2026/07/10
「船旅」という言葉には冒険心をくすぐられるものの、「クルーズは高嶺の花」というイメージをもっている人も多いのでは? そんな人こそ必見。本連載は、これまでに140隻以上の客船に乗船し、クルーズを熟知したジャーナリスト・藤原暢子さんによる全4回のクルーズ講座です。クルーズ旅行を本気で検討したい人のために、第2回は、気になる船内ファッション事情をご案内します。

- 文/藤原暢子 写真/藤原暢子、ミキ・ツーリスト(シルバーシー・クルーズ/セレブリティクルーズ)、MSCクルーズ

- クルーズ
もはやドレスコードはなくなった?
「タキシードやロングドレスで正装しなければならず、クルーズは準備がたいへん」というイメージはもう過去のもの。いまは肩肘張らずに過ごせる「スマート・カジュアル」が船内ファッションの主流になっています。以前のクルーズといえば、「カジュアル」「インフォーマル」「フォーマル」と、その日の服装を指定するドレスコードがあるのが一般的でした。近年は、「休暇中はリラックスして過ごしたい」「荷物を減らしたい」という乗客の声を受け、「スマート・カジュアル」(冒頭写真はラグジュアリー船の「シルバー・レイ」)を採用する船会社が圧倒的に増えています。スマート・カジュアルとは、おしゃれなレストランに出かける程度の服装。男性ならポロシャツや長袖シャツにチノパン、女性ならワンピースやブラウスにスカート(パンツ)など、少しきれいめ、清潔感のある服装を意識すれば十分です。
せっかくならフォーマルも楽しみたい!


とはいえ、長めのクルーズともなると1週間~10日に一度くらいはフォーマルの日が設定されることがあります。ドレスコードは船側が押し付けるものではなく、 “皆で雰囲気を楽しむ”ためのものなので、普段は着る機会の少ないドレスやジャケットを楽しむという気持ちで準備してみてもいいと思います。
ところで、ひと言でフォーマルといっても船によってスタイルが異なります。プレミアム船やカジュアル船なら、男性はジャケット、女性はワンピースにアクセサリーで華やかさを添える程度で問題ありません。一方、日本船やラグジュアリー船では、男性はダークスーツ(またはタキシード)、女性はロングドレスや訪問着以上の着物があると安心です。ロングドレスでなくても、デコルテが出ていると華やかに見えます(写真は「セレブリティ・ミレニアム」のアトリウム)。
また、ドレスコードを楽しむイベントとして、多くの船で「ホワイトナイト」(写真は「MSCベリッシマ」の「ホワイト・パーティー」)などの“テーマナイト”が開催されます。白い服や小物を身に付けるだけ、例えば男性は白いポケットチーフ、女性は白のスカーフやストールだけでも盛り上がり、会場の一体感を楽しめるイベントです。船内にはプロカメラマンがいることも多く、家族や友人との記念撮影には絶好の機会。私も両親と乗船した際に撮影した写真をいまでも大切にしています。船上は映えスポットが各所にあるのですてきな装いをして、自分でも写真や動画をたくさん撮って思い出をいっぱいつくりましょう。
船内で浮かない装いとリカバリー方法


スマート・カジュアルの夜に、Tシャツとダメージジーンズだと浮いてしまうことも。当日、服装が気になる場合は、夕方に、少し早めにバー(写真)やアトリウムをのぞいて周囲の様子を確認してみましょう。日本船では、公式サイトやパンフレットの写真も参考になります。そこでもし服装選びを間違えてしまったと感じても、船内のブティック(写真)で購入することもできるので、ご心配なく。ショー鑑賞の際やバーでは、その日のドレスコードが求められる場合もありますが、逆にドレスコードが適用されない気軽なビュッフェやルームサービスで夕食をとることもできるので、ナーバスになりすぎなくても大丈夫です。また、ドレスコードそのものがプレッシャーになる場合は、ドレスコードがない「フリースタイル」のクルーズに参加するのもよいでしょう。
ファッションを諦めずに上手に荷造りを


衣服関連の荷物で意外とかさばるのが靴です。寄港地用のスニーカー、プールやビーチ用のサンダル、ディナータイムのおしゃれ靴など、最低でも2〜3足は必要になります。私自身は、軽量スニーカー、日中や室内履きにも使える軽量シューズ、スマート・カジュアルに対応できる靴の3足を持参しています(写真)。スマート・カジュアルにもフォーマルにも履ける靴など、幅広いシーンで使える靴があると荷物も少なくできて便利です。
服も、荷物をできるだけ少なくするために工夫をしましょう。スマート・カジュアルの服が増えそうであれば、男性はシャツを替えるだけ、女性は基本のワンピースをひとつ決めてスカーフやアクセサリーを付け替えてアレンジするのもおすすめです(写真)。
おしゃれは義務ではありません。大切なのは清潔感と笑顔。とはいえ、出発前から「何を着ようかな」と考える時間も、クルーズの楽しみのひとつなのです。
次回(第3回=8月配信)は、船内での「クルーズライフ」についてご紹介します。

(*著者プロフィール)
藤原暢子(ふじわらのぶこ)●クルーズジャーナリスト。クルーズ専門誌『CRUISE』元編集長。父は元船医。1998年に英国の客船で世界半周したのを機に、船旅に魅了される。現在はさまざまなメディアで国内外のクルーズの魅力を発信・紹介。これまでに、140隻以上の外国船・日本船・フェリーに乗船し、80ヵ国以上を巡る。
※掲載内容は、2026 年6 月時点の情報です。

