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煌めくパリのクリスマス――その舞台裏は?

旅行

2024/11/20

パリのクリスマスイルミネーションは、11月から始まるところが多く、この時期になると、街のあちこちが祝祭ムードに包まれます。『J-B Style 2024冬号』でご案内している「シャンゼリゼ通り」と「チュイルリー公園」のクリスマスの話題をお届けします。

ライター
取材・文/木戸美由紀 写真/木戸美由紀、パリ観光局(©Léa Sotton)
エリア
パリ(フランス)

煌めく街路樹が通りを華やかに浮かびあがらせるイルミネーションや、工夫を凝らした装飾でクリスマスの世界観をつくり出すショーウインドー、建物をまるごとクリスマス仕様にラッピングした圧巻のブランドショップなど、この季節のパリはみどころが満載。街を散策するだけでもぜいたくな観光ができる。また、あちこちで開かれるクリスマス市もこの時期の風物詩だ。地方の雑貨やグルメを扱う山小屋風の屋台が並び、さまざまなイベントも楽しめる。ここではシャンゼリゼ通りのイルミネーションのこぼれ話とチュイルリー公園のクリスマス市でのとっておきの楽しみ方をお話ししよう。

サステナブルに取り組むシャンゼリゼ通りのイルミネーション

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今年もシャンゼリゼ通りでは、11 月下旬から待望のイルミネーションが始まる。ライトの色は、2006年までシャンパンゴールドカラーの電球が用いられていたが、LEDライトとなった2007年以降は3、4年ごとに色を変えるようになった。近年では20142017年が白、2018〜2021 年は赤を使用。そして2022 年からは久しぶりにシャンパンゴールドカラーがLEDライトで用いられ、街路樹を装飾した(写真)。この温かみあるライトアップの復活は、パリっ子たちに好評を博している。

運営を担当するシャンゼリゼ委員会は、数年前から電力消費量の削減に取り組んできた。2007年からはブラシェール・イルミネーション社がライトの開発に携わり、シャンゼリゼ通りの電力消費量は2006年の480,000kWhから2023年には13,300kWhと大幅な削減に成功。17年間で実に98%もの電力を削減できるようになったという。

よく見るとシャンゼリゼ通りのイルミネーションはチカチカと点灯と消灯を繰り返している。これは星のまたたきのように幻想的なイメージを与える視覚的効果があるだけでなく、LED電球を「100%点灯させない」ことで電力消費を抑えるという効果もあるそうだ。
同委員会によると、「光の祭典、クリスマスのウインドー・ディスプレーという喜ばしい伝統を維持」すると同時に、「世界有数の美しい通りがエネルギー消費の面で模範となる」ことを目的とする、と説明している。

ライトアップのコンセプトは「ソブリランス」(Sobrillance)。これは、「節制」(sobriété)と「輝き」(brillance)を組み合わせた造語で、その名のとおり少ない電力でより効果的に、美しいイルミネーションを作る取り組みのこと。
うっとりするようなシャンゼリゼ通りのイルミネーション。その伝統を持続させるために、たゆまぬ努力が続けられているのだ。

「チュイルリーのクリスマス市」を歩く

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パリ最大級のクリスマス市といえば、チュイルリー公園で開かれる「チュイルリーのクリスマス市」(写真)だ。2023年は合計100のシャレー(山小屋風の屋台)と、観覧車やミニ列車、迷路など15のアトラクションが設けられた。ほかにもサンタクロースとの記念撮影企画や、週末や学校の休暇中はステージで無料のショーを開催。たくさんのエンターテインメントがあり、家族全員が楽しめるようになっている。

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1,200㎡のアイススケートリンク(写真)は、毎年大人から子どもまで多くの人から人気を集めるメインアトラクションのひとつ。高い所やスリルのある乗り物が好きな人のために、絶叫系アトラクションのフライングチェアもある。

日が暮れたころに乗りたいのが観覧車(冒頭写真)だ。高さ約50mの観覧車では、高い所から見渡すパリの夜景がまるで宝石のように美しい。恋人同士なら、クリスマスのロマンティックな気分が一層盛りあがるだろう。

フランス各地の名物グルメを堪能

クリスマス市では、フランス各地のグルメを楽しむこともできる。とくに、チュイルリーのクリスマス市では、アルザスやブルターニュ、オーヴェルニュ、西インド諸島など、約20の地方の料理を提供する屋台(写真)が出店する。

おやつにおすすめしたいのは、フランス東部のアルザス地方でよく食べられるプレッツェルやパン・デピス、クグロフなど。
アルプスのふもとにあるサヴォワ地方の名物といえばラクレットチーズ。レストランでは、大きなラクレットをとろりと溶かし(写真)、ジャガイモやシャルキュトリーと呼ばれるハムにかけて食すが、クリスマス市では、ハムととろとろのチーズをたっぷり挟んだサンドイッチが定番だ。

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ルブロションチーズを使った、タルティフレット(写真)もサヴォワ地方の料理。ジャガイモやタマネギ、ベーコンを炒めたものと、ルブロションチーズが主な材料。クリーミーなチーズがほくほくのジャガイモにねっとりと絡み、こちらもおいしい。うまみが強いチーズは、ヴァン・ショーと呼ばれるホットワインと相性がぴったり。熱々のチーズとホットワインを味わえば体の芯までほっこり温まり、クリスマスの散歩がますます楽しめそうだ。

 

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