たった5頭のトナカイの電飾が500万球の煌めきに あしかがフラワーパーク「光の花の庭」
旅行
2024/11/20
『J-B Style2024年冬号』の特集「煌めくイルミネーション」で紹介している「あしかがフラワーパーク・光の花の庭」は、日本有数の人気イルミネーションのひとつ。業界を牽引するこのイベントの歴史と、その人気の秘密を探ります。

- 取材・文/日下智幸 写真/あしかがフラワーパーク

- 栃木県
「あしかがフラワーパーク」があるのは栃木県足利(あしかが)市。アメリカのCNNが選出した「世界の夢の旅行先10ヵ所」(2014年)に、日本から唯一選ばれるほど海外でも評価が高い花のテーマパークだが、花に負けない人気を誇っているのが冬のイルミネーション「光の花の庭」だ。
500万球のLEDが照らす、花と光の一大ページェント

「光の花の庭」は、夜景観光コンベンション・ビューローによる「日本三大イルミネーション」に認定されているだけでなく、「第1回 International Illumination Award」の「イルミネーションイベント部門優秀ストーリー賞」で全国1位に輝き、その前身となる「イルミネーションアワード」(イルミネーション部門)と通算すると8年連続となる偉業を達成。いまでは自他ともに認める日本を代表するイルミネーションスポットといえる。
例年、イベントが始まると10万㎡もの園内が500万球を超えるイルミネーションで装飾される。このスケールの大きさが特徴だが、期間を3つに分け、それぞれに異なったテーマの演出がなされているのも人気の秘密だ。10月中旬から11月中旬までは光と花がコラボする「光とアメジストセージの融合」、その後12月下旬までは「クリスマスファンタジー」(写真)、元日から2月16日までは「光と冬咲きボタンの競演」が開催される。時期によってイルミネーションのテーマが変化することで、期間中に何度も訪れるファンも多く、来場者数の増加に拍車をかけている。
代表作ともいえる「奇蹟の大藤」(冒頭写真)は、開園当初の72㎡から1,000㎡まで成長を遂げた藤棚が舞台。まるで春の藤を見るかのように、咲き始めから満開、さらに舞い散るまでのストーリーが人々を魅了する。
夜のゲストに贈る、5頭のトナカイの電飾から始まった


さて。ここであしかがフラワーパークの「光の花の庭」の歴史を振り返ってみよう。
園内に、最初のイルミネーションの灯がともったのは2000年ごろのこと。夜、レストランのゲストに楽しんでもらえるようにと、5頭のトナカイの姿の電飾を設置したのが始まりだった(写真)。有料イベントとしてスタートしたのは2年後の2002年。約6万個の電球で園内の花を再現したという(写真)。
翌2003年には「大藤」、2004年には「白藤」と、当初は園の象徴でもあった藤の花の電飾をメインに、2005年には「きばな藤」がお目見えし、この年の電飾は約50万個を数えた。その後も少しずつ規模が拡大することになるが、その人気のスピードを物語っているのが入場者数の推移だ。
記念すべき第1回(2002年)は1万人にも満たなかった入場者数が、4年後の2006年には10万人を突破。2008年に20万人、2010年に30万人と、毎年約5万人ずつという驚異的なペースで入場者数は増加を続けた。現在は海外からの来訪者も含めて、期間中に約60万人もの入場者を迎え入れている。
新しい試みに挑戦し、数々のタイトルを受賞

年を追うごとに認知度が高まる「光の花の庭」。それを後押ししてきたのが数々の受賞タイトルだ。最初は2011年、夜景観光コンベンション・ビューローによる「日本夜景遺産」に認定された。翌2012年には同団体により「関東三大イルミネーション」に、2014年には「イルミネーションアワード」のイルミネーション部門において、初めて全国1位を受賞した。2017年に同団体から「日本三大イルミネーション」に選出されたことで揺るぎない地位を確立。約4年半ぶりに開催された2022年の夜景サミットにおいても、「日本三大イルミネーション」の再認定を受けている。
そして先に紹介したように、2023年には「International Illumination Award(旧イルミネーションアワード)」で、通算8年連続となる全国1位に輝いた(写真)。この快挙は、2022年にリリースされた「光のバラ園」(写真)など、つねに新しい試みに挑戦してきたパークの努力の結晶といえる。
ポストコロナへ。日本一の自負とともに新たな挑戦へ


「光の花の庭」は、新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年も、感染症対策を行いながら細々と開催。一度も途切れることなく、翌2021年に20周年を迎えた。この年、全面リニューアルを果たした「フラワーキャッスル」(写真)や「光の花手水」をリリース。2022年には前述の「光のバラ園」が、そして2023年にはプロジェクションマッピングを駆使した「日本の四季」(写真)が登場した。
毎年発表される、これら新作の登場を心待ちにするファンも多い。そして2024年。23回目の「光の花の庭」が10月18日にスタートした。いちばんのみどころは、大幅にリニューアルされた高さ約25mの「イルミネーションタワー」とサンタクロースが空を飛ぶ姿を光で再現した「スノーワールド」。それぞれの作品の演出が互いに連動し、ひとつの大きな作品のような一体感が感じられるようになった。
あしかがフラワーパークの歴史が詰まった「光の花の庭」。この冬、日本を代表するイルミネーションを、一度体験してみてはいかがだろうか。
- 住所 栃木県足利市迫間町607
- 電話番号 0284-91-4939
- 開催期間 10月18日(金)~2025年2月16日(日)
- 時間 3:30PM~8:30PM(土・日・祝 ~9:00PM、点灯は4:30PM~5:00PMごろから。時間延長の場合あり)
- 休み 12/31
- 料金 夜の部入場 大人1,400円
- 公式サイト https://www.ashikaga.co.jp/flowerfantasy_special2024/jp/

