パリ・聖なる夜に“ジョワイユ ノエル”
旅行
2024/12/13
キリストの生誕を祝うノエル(クリスマス)は特別なイベント。11月になると、パリの街は華やかなクリスマスツリーやイルミネーションに彩られ、さまざまな場所で行われるクリスマス市が、祝祭ムードと人々の心をいっそう盛りあげる。この季節しか味わえない、光あふれる美しきパリをご案内しよう。

- 取材・文/木戸美由紀 写真/吉田タイスケ、shutterstock.com
- パリ(フランス)
幻想的な光に包まれた 珠玉の夜景を満喫
クリスマスのパリを巡る旅は、“世界で最も美しい通り”と称される「シャンゼリゼ通り」(写真)から始めよう。「凱旋門」とコンコルド広場を繋ぐ約2キロメートルの通りの両側には、高級ブティックやカフェなどが立ち並び、歩道に植えられた約400本のプラタナスの並木に、およそ100万個のLED電球が輝く。毎年11月に行われる点灯式にはパリ市長が著名人を招き、華やかなイベントを開催。当日は車両通行止めとなり、通りは巨大歩行者天国へと姿を変える。
ライトアップ観賞は、ジョルジュ・サンク駅の近辺からシャルル・ドゴール・エトワール広場に向かうコースがおすすめだ。凱旋門から続く両側の並木に、まるで光の花が咲いているかのような幻想的な景色が楽しめる。
ルイ14世の時代に整備された「ヴァンドーム広場」(冒頭写真)もライトアップの名所として知られるスポットなので、ぜひ訪れておきたい。広場の中央に立つブロンズの円柱、ヴァンドーム柱を中心に、巨大なツリーやアート作品が並び、広場の周囲には多数のツリーが置かれる(写真)。世界的に著名な宝飾店が集まるこの広場は“パリの宝石箱”とも呼ばれている。その名のとおり、宝石をちりばめたような景色が見られるのは、この季節ならでは(写真)。特別な聖夜を体験したい。
大人も子どもも楽しめる クリスマスの風物詩
マルシェ・ド・ノエル(フランス語でクリスマス市)は、この季節の重要な伝統行事。「チュイルリー公園のクリスマス市」(写真)はパリ最大級で、山小屋風の屋台で各地のグルメや名産品、オーナメントなどを販売している。サンタクロースとの記念撮影コーナーや移動遊園地もあり、大人から子どもまで楽しめる。
散策後の休憩は、話題の新スポット「カフェ・ラペルーズ・パリ・コンコルド」へ。コンコルド広場に立つ、旧海軍省の建物を利用した瀟洒(しょうしゃ)なホテルにあるカフェで、メニューは上質な食材を用いたヘルシーな料理が中心(写真)。人気の室内建築家が手がけた空間も必見だ。
チュイルリー公園前の「ル・ムーリス」はパラス*の称号を受ける最高級ホテル。開業は1835年と歴史があり、かつては王侯貴族やダリなどのアーティストが常宿としていた。公園に臨む客室からは、クリスマス市とエッフェル塔のライトアップが一望できる。美景を眺めながら、優雅な客室でくつろぎの時間を過ごしたい(写真)。
*パラス=フランスで5ッ星以上の評価を受けた最高級クラスのホテルの称号。
モミの木の森と 光に満ちた広場を歩く
“オテル・ド・ヴィル”と呼ばれる「パリ市庁舎」(写真)。その前の広場では、多数のツリーが美しくライトアップされる。
ここからセーヌ川を渡ると「ノートルダム大聖堂」のあるシテ島に到着。「ノートルダム大聖堂のクリスマス市」は左岸のルネ・ヴィヴィアーニ広場で開催される。ここでは多数の職人やデザイナーが出店し、キャンドルや陶器、ジュエリーなど、丁寧な仕事の工芸品が見つかる。
フランスでのクリスマスディナーの定番、牡蠣を味わうなら、市庁舎前広場から歩いて10分ほどのところにある魚介専門レストラン「ル・シーフード」がおすすめだ。ここではフランス沿岸から直送される新鮮な魚介を盛り合わせたシーフードプレート(写真)をオーダーしたい。
市庁舎前広場の程近くには紅茶専門店の「マリアージュ・フレール・パリ・マレ」がある。創業当時の装飾を残したノスタルジックなインテリアのショップの奥はティールームになっており、豊富な種類の紅茶を楽しめる。フレーバードティーとケーキを味わいながら、コロニアル風のインテリアが心地よい空間でほっとひと息つこう。
市庁舎のあるマレ地区は、観光名所や買い物客が集まるにぎやかなエリア。かつて王が所有していたヴォージュ広場前の5ッ星ホテル「クール・デ・ヴォージュ」(写真)では、周囲の喧騒から離れて静かなステイが可能。モダンとアンティークを心地よくミックスした空間で、クリスマスの滞在をゆっくり振り返りたい。
※本記事は、『J-B Style24冬号』(P40~47)を転載しています。