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“炭鉱から観光”へ、そして震災からの復興。「スパリゾートハワイアンズ」の軌跡
旅行
2023/11/21
『J-B Style2023年冬号』で紹介している「スパリゾートハワイアンズ」(福島県いわき市)は、1966(昭和41)年に誕生し、2023年で58年目を迎えました。“炭鉱から観光へ”——大転換を成し遂げた、そのドラマチックな歴史をご紹介します。

- 取材・文/牧岡幸代 写真/柏原真己、スパリゾートハワイアンズ

- 福島県
「スパリゾートハワイアンズ」のメイン施設は、プールやウォータースライダー、ポリネシアンショーのためのステージがある「ウォーターパーク」だ。この巨大なドーム状の建物の2階に、「フラ・ミュージアム」があるのをご存じだろうか。
ミュージアムで知るハワイアンズの歴史


炭鉱から常磐ハワイアンセンターへの転換


現在のスパリゾートハワイアンズの運営会社である常磐興産は、炭鉱時代の社名を常磐炭礦(たんこう)といい、もとは常磐炭田の中核企業だった。戦後から1950年代後半にかけて、常磐炭礦では約1万6000人の従業員が働き、その家族も含めると6万人もの人々の暮らしを支えていたという。その炭鉱がなくなる……。雇用の確保と企業の存続のために、常磐炭礦はさまざまな新規事業を立ち上げることになった。 そのひとつとして1966(昭和41)年に誕生したのが、スパリゾートハワイアンズの前身、常磐ハワイアンセンターだった。
“炭鉱の空気”とフラガールの誕生


「炭鉱人による炭鉱人のための計画。人の真似はせず、自らの手で作りあげる」
中村氏は常磐ハワイアンセンターの柱を、フラダンスとタヒチアンダンスのショーにすると決め、炭鉱の町で生まれ育った人をダンサーに育てることにこだわった。「炭鉱人の血を受け継いで、炭鉱の空気のなかで育ってきた人が踊ることによって、この目的が達せられる」(展示パネルより)。“炭鉱の空気”とは、危険と隣り合わせで働く炭鉱の人々が助け合って生きたその環境のこと。フラ・ミュージアムには、炭鉱住宅で結成された自主消防団のはっぴや野球チームのユニフォームも展示されている(写真)。
常磐ハワイアンセンター開業の前年に、ダンサーの育成を行う常磐音楽舞踊学院が設立された(写真)。このころの経緯を描いたのが、先に紹介した大ヒット映画『フラガール』だ。ちなみに、現在スパリゾートハワイアンズのショーに出演しているダンサーも、全員が常磐音楽舞踊学院で教育を受けている。就学期間は2年。実技を含む選抜試験に合格して入学すると同時に、常磐興産の正社員となる。4月に入学して通常7月にはデビューするそうだ。
「1,000円もってハワイに行こう!」

その後、1960年代から1970年初頭にかけて、大プールに浮かぶ水上ステージ(写真)や、温泉が滝のように流れる「ナイアガラ風呂」など、次々と新しい施設をオープンし、人々を引き付けてきた。1970年代にはオイルショックの影響で入場者数が減少したものの、1988(昭和63)年には常磐自動車道いわき湯本ICができたことで、年間入場者数は143万人を超えた。さらに1990(平成2)年には、名称を「スパリゾートハワイアンズ」に変更。スパ(温泉)を前面に打ち出した。
そして、2006(平成18)年には映画『フラガール』が大ヒット。スパリゾートハワイアンズは大きく注目され、映画公開の翌年には過去最高の入場者数(約161万人)を記録した。
震災、復興……。全国に元気と笑顔を届けに


炭鉱からレジャー施設への大転換、震災からの復興と、幾度も苦難を乗り越えてきたスパリゾートハワイアンズは、その後も時代のニーズに応じて、新しい施設やサービスを打ち出し続けている。その歴史を知れば、滞在がより一層感慨深いものになるに違いない。
(*データ)
- 住所 福島県いわき市常磐藤原町蕨平50
- 電話番号 0570-550-550(いわき予約センター 9:00AM~5:30PM)
- 営業時間 10:00AM~8:30PM(最終入場) ※施設により営業時間は異なる、HPで要確認
- 休み 2023年12月4日(月)~7日(木)、2024年2月5日(月)~8日(木)全館休館
- 料金 大人3,570円(3:00PM~ 3,060円・6:00PM~ 2,860円・特定期は各+550円)
※ショーは別途、昼900円~、夜1,300円~(昼は一部無料開放席あり)

