古代〜現代の芸術が集まる
博物館島とモダンアートの街
旅行
2023/09/08
ユネスコの世界文化遺産に登録された「博物館島」をはじめ、ミュージアムだけでも170以上が集まるドイツ・ベルリン。数多くのギャラリーに加えて、街のあちこちでモダンアートが見られる。芸術の秋の海外旅行は、ベルリンでアート巡り!

- 取材・文:河内秀子 写真:© RudyBalasko / Shutterstock.com、AMF / © bpk / Reinhard Görner、AMF / © bpk / Vorderasiatisches Museum, SMB/Olaf M.Tessmer、AMF / © bpk / Gemäldegalerie, SMB / Christoph Schmidt、Foto : David Pinzer, courtesy Gerhard Richter Archiv Dresden © Gerhard Richter 2023 (31032023)、©Gerhard Richter 2023 (31032023) Foto : David von Becker、© Martin Dziuba für KaDeWe/The KaDeWe Group、© Gianni Plescia
- ベルリン(ドイツ)
アートの殿堂「博物館島」を探訪
市内に170以上ものミュージアムがある街、べルリン。圧巻なのは世界文化遺産に登録されている「博物館島(ムゼウムスインゼル)」(冒頭写真)だろう。シュプレー川の中洲に集まる5つの博物館では、古代の遺跡から19世紀の印象派絵画まで、膨大な芸術作品群を鑑賞できる。ひと休みしたくなったら、島の対岸にある「ビストロ・レーベンスヴェルテン」でベルリン名物を食べるのもおすすめ。
博物館島の起源は1830年にさかのぼる。プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム3世が、あらゆる人に芸術にふれる機会を与えたいと、王立博物館(現「旧博物館」)を造らせたのだ。こうして旧博物館の周囲を芸術と科学の集まる場にする博物館島の計画が始まった。
2009年に第二次世界大戦の痕跡をあえて残して再建された新博物館は、建築自体も息を呑(の)む美しさだ。約10万点の莫大なコレクションのハイライトは、『ネフェルティティ王妃の胸像』(写真)に代表されるアマルナ時代の貴重な美術品群である。
にぎわう館内に身を置くと、1830年にプロイセン王が思い描いた“あらゆる人に開かれた芸術の殿堂”が、未来へ続いていることが実感できる。
新旧の名画が観られるポツダム広場周辺へ
東西分断時代に、西ベルリンにおいて国境に隣接していたポツダム広場周辺に計画されたのが、「絵画館」と「新ナショナルギャラリー」だ。1987年に計画された絵画館だが、コレクション収集の歴史は古く、1830年に開始された。フェルメール作品(写真)2点のほか、レンブラントやデューラーなど、13世紀から18世紀のヨーロッパ絵画1000点以上が、72部屋に年代順に展示されている。
バウハウスを代表する建築家ミース・ファン・デル・ローエが設計した新ナショナルギャラリーは、1968年に開館。ピカソやクレーなど20世紀の著名なアーティストの作品を所蔵している。さらに今年から、ドイツを代表する現代アーティスト、ゲルハルト・リヒターが寄贈した100作品の展示(写真)も始まり、話題になっている。隣接する土地には現在「20世紀美術館」を建設中。ここが新たなアートの中心地になっていきそうだ。
街にあふれる多彩なアートをキャッチ!!
街の至る所で、アートと出合えるベルリン。まずはおみやげを買いに、100年以上の歴史をもつデパート「KaDeWe(カーデーヴェー)」(写真)に行こう。洗練された現代建築も一見の価値ありだ。続いて、1960年代に建てられた、かつての教会で最新の現代アートが見られる「ケーニヒ・ギャラリー」へ。
※本記事は、『J-B Style2023年秋号』(P28~37)を転載しています。