世界遺産・白神山地の旅とあわせたい!
観光列車「リゾートしらかみ」に乗って
旅行
2023/06/12
『J-B Style2023年夏号』のP30~35で特集した青森県・秋田県にある白神山地を訪れたら、あわせて体験してほしいもうひとつの“白神”があります。優雅な観光列車で、日本海と津軽平野の絶景巡りをしてみてはいかがでしょうか。

- 取材・文/山内史子 写真/松隈直樹

- 青森県 、 秋田県
観光列車でも楽しめる白神の旅
奥羽本線、五能線を辿り、青森駅と秋田駅を結ぶ、JR東日本の観光列車「リゾートしらかみ」。その歴史は、1990(平成2)年に運行を開始した「ノスタルジックビュートレイン」に端を発する。それまでの特別列車はお座敷スタイルや車内での宴会などが楽しみの主役だったが、この列車は、鉄道旅の最大の魅力ともいうべき車窓の眺めを重視し、“観光列車”という肩書きで登場した。昨今、各地で数多くの観光列車が話題を集めているが、実は、弘前駅~秋田駅・東能代(ひがしのしろ)駅を走ったこの列車が先駆けであることはあまり知られていない。全国から多くの人が訪れるようになった結果、1997(平成9)年には、よりサービスを整えた「リゾートしらかみ」が誕生。現在は「青池」「橅(ブナ)」「くまげら」という3種類の異なる編成の列車が走る。


全席指定の車内は普通席とグループで楽しめるボックス席とに分かれるが、ともにシートは余裕のある快適なつくりで、大きな窓から景色を堪能できるのがなによりの魅力。全23駅に停車する行程は片道約5時間半だが網羅する必要はなく、途中乗車・下車もできるため、旅の計画に組み込みやすいのもうれしい。ただし小さな駅では指定席券を販売していないため、事前のリサーチが肝心。というわけで、おすすめの区間を紹介しよう。
旅情にひたれる山海の風景とおもてなし


例えば弘前駅~五所川原(ごしょがわら)駅の間なら、田畑やリンゴ畑が広がる津軽平野が待ち受ける。津軽富士こと、岩木山(いわきさん)の美しさと存在感も圧巻。列車が山の東側から北側へと裾野を進むため、見え方の変化する山容が景色の要になる。リンゴ畑のすぐ横を走る区間もあり、初夏なら白く可憐な花が、秋には赤や黄色の実が視界に飛び込んでくる。


津軽三味線や民謡が車内で披露される、五所川原駅~鰺ケ沢(あじがさわ)駅間も人気の区間だ。力強い三味線の音や哀愁を帯びた唄声は胸にしみ、車窓の眺めにさらなる風情をもたらす。
鰺ケ沢駅を過ぎて以降、秋田県の北部までは、日本海沿岸を進むリゾートしらかみのハイライト。青い海と大小の岩が織りなす絶景が続く。岩棚が駅前に広がる千畳敷駅では15分の停車時間がとられ、海岸近くを歩く楽しみも。周辺は夕景の名所として知られており、時間と天候次第では日本海に沈む夕日を見ることができて、感動が込み上げるだろう。


千畳敷駅の先には、本誌記事で紹介した「不老ふ死温泉」に近いウェスパ椿山駅や、「十二湖散策コース」の起点まで路線バスが走る十二湖駅もあるので、列車を満喫しつつ白神山地を巡る旅を進めることも可能だ。日程や区間は限られるものの、地元の人による特産品の車内販売、地方の言葉による昔話の語りや伝統的な人形芝居といったイベントでは、やわらかな津軽弁の響きにも魅了されるだろう。もちろん、青森県から秋田県へと旅を続けるのもいい。時刻表を見ながら、ぜひ綿密に計画を立てよう。
(*データ)
リゾートしらかみ
- 電話番号 050-2016-1600(JR東日本お問い合わせセンター 6:00AM~0:00AM(深夜))
- 運行日/運行時刻/料金 公式サイトでご確認ください
- 公式サイト https://www.jreast.co.jp/railway/joyful/shirakami.html


