もっとJ-B Style! +α取材ネタ

浜松のお店だからこそ出合える
知られざる味わいの鰻料理

グルメ

2023/06/12

『J-B Style2023年夏号』のグルメ対決はいかがでしたか? 浜松の鰻を取材して驚いた、“浜松のお店だからこそ!”な「鰻のおいしい食べ方」の数々をご紹介します。

ライター
取材・文/林 律子 写真/武井メグミ
エリア
静岡県

鰻の名店が軒を連ねる浜松。市街地中心部から約10㎞強のところにある浜名湖は、日本有数の汽水湖であり、ご存じ、養殖鰻の名産地。その養鰻(ようまん)の歴史は明治期までさかのぼることができ、最盛期は辺り一帯の主要産業としてもにぎわいを見せた。

浜松の町は、鰻とともに歴史を歩んできたといっていいのかもしれない。

浜名湖の養鰻の最盛期は昭和40年代(1965年~)。全国生産量の約7割を占め、浜名湖周辺には100軒を優に超える養鰻業者が軒を連ねていたという。それほど鰻が身近だった浜松だからこそ、ほかでは見かけぬ鰻料理が少なくない。鰻といえば「かば焼き」。これはだれもが認める揺るぎない王道の美味だが、“じゃないほうの”鰻料理は、浜松でしか食べられない美味だった。

鰻の炊き込みご飯「ぼくめし」

浜松で養鰻を生業(なりわい)にしていた多くの人たちに、養鰻の最盛期に愛されていたのが郷土料理「ぼくめし」だ。

これはいわゆる鰻の炊き込みご飯で、もともとは大きく育ちすぎて売り物にならない鰻を、自分たちのまかない飯として工夫して食べたのが始まりだそう。

諸説あるが、硬くなってしまった皮や骨でもおいしく食べられるよう、臭み抜きのゴボウと一緒に炊き込み、かば焼きのタレで味を付けたのだそうだ。

ぼくめしの「ぼく」は「木杭(ぼっくい)」からきた言葉。太い鰻が池などに打たれた「ぼっくい」に見た目もよく似ているため、その名が付いたという。

養鰻業が落ち着くとともに、このまかない飯は次第に姿を消していったが、「浜松の食文化を次の世代に繋ぎたい」と、店のメニューとして出しているのが、誌面でもご紹介した「魚魚一(とといち)」だ。

同店では「うなむすび」の名のおにぎりスタイルで提供している。鰻とゴボウを米と一緒に炊き込む際に、茶葉も加えるところが味の秘訣。そうすることで臭み消しの効果が得られ、さらには冷めても鰻の脂が固まらず、ふっくらするという。

「茶葉も静岡産を使用。静岡自慢の食材が楽しめるおにぎりなんです」と、店主の仲村健太郎氏(写真)。

上品な甘みが感動モノの鰻の刺身

魚料理専門店である魚魚一では、このほかにも、たくさんの鰻料理がある。なかでもぜひ試してもらいたいのが「うなぎの刺身」だ。「鰻は血液に毒があるため、生ではあまり食べられてこなかったのですが、身自体は生で食べても問題ありません。試行錯誤を重ね、独自の方法で完璧に血抜きをし、刺身でお出しすることに成功しました」と仲村氏は語る。

現れたるは、何とも美しい白身! 身に細かな隠し包丁を入れて小骨を断ち、極薄に削(そ)いだ美しい薄造りだ。フグのようにぽん酢でいただくと、コリッとした歯ざわりの後、上品な香りが口のなかにふわっと立ちのぼる。その味わいに感動していると、仲村氏が味わいの秘密を教えてくれた。

「鰻の身は、霜降り肉のようにサシ(脂)が細かく入っています。この脂の融点が低く、口のなかの体温で溶け出すので、嚙めば嚙むほど上品な甘みがじんわりしみ出てくるんですよ」

さっと湯にくぐらせればまた違ったうまみが出てくるので、しゃぶしゃぶもおすすめとのこと。わざわざ東京や大阪から、この刺身を食べにやって来る常連客もいるそうだ。

鰻のえんがわは唐揚げで!

刺身を堪能する際は、お供にぜひ「うなぎのから揚げ」を。こちらは、刺身をつくった後に残る「えんがわ」に衣をつけてカリリと揚げ、鰻のタレをからめたもので、後引く味わい。お酒が進んで止まらないおいしさ。 

浜松だからこそのユニークな鰻料理のあれこれ。味わうために出かける価値アリ!

 

(*データ)

魚魚一

住所)静岡県浜松市中区肴町318-28 ペッシェビル3階

電話)053-458-6343

営業時間)11:30AM~2:00PM(要予約・コース料理のみ)、5:00PM~10:00PML.O.)日・祝休(月曜が祝日の場合は営業)

https://www.totoichi.com/


TOP