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【大阪】中之島 アートとカルチャーが詰まった“クリエイティブアイランド”

旅行

2025/07/25

“水都大阪のシンボルアイランド”でもある中之島は、緑豊かな都会のオアシスであると同時に、美術館や博物館も立ち並ぶアート&カルチャーエリア。新しい大阪を知るならここへ。

ライター
取材・文/薄雲鈴代 写真/ウエスト・パブリッシング、大阪市立科学館、大阪観光局
エリア
大阪府

バラの香りに包まれるレトロモダンな建築群

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堂島川と土佐堀川に挟まれた中之島(冒頭写真)。東西約3キロメートルの中洲に、行政・経済・文化施設が数多く立っている。江戸時代には諸藩の蔵屋敷が立ち並び、米などを中心に全国の物資が集まった場所だ。大阪が“天下の台所といわれた所以でもある。

明治に入り蔵屋敷は姿を消したが、文化施設が続々と建設され、大阪市で最初の公園「中之島公園」(写真)も造られた。以来、中之島はビル群を借景に、「大阪市中央公会堂」や「大阪府立中之島図書館」など、明治・大正期のレトロモダンな建物が並ぶ文化ゾーンを形成していった。

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そんな中之島が1年で最も華やぐのは初夏5月と仲秋10月、中之島バラ園(入園無料)の開園期である。約310品種、約3700株のバラが華麗に咲き、辺りはバラの芳香に包まれる。

中之島バラ園の近くに「こども本の森中之島」(写真)が開館したのは2020年。「本を読んで、豊かな感性や想像力を育んでほしい」と建築家・安藤忠雄氏が設計し、大阪市に寄贈した文化施設だ。子どもたちの感受性を大切にする本が、くつろげる空間に並ぶ。「こども」と付いているが大人も入館でき、想像力がかきたてられる建物や館内は必見(写真)。図書の貸出しはないが、晴れの日なら申告すれば、公園内へ1冊だけ持ち出しができる。

大正建築の公会堂と神殿のような図書館

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1世紀以上にわたって“中之島のシンボルといえば、重要文化財でもある大阪市中央公会堂だ(写真)。外観は赤レンガと花崗岩によるネオ・ルネサンス様式の美しい建物で、かの東京駅を設計した辰野金吾(たつのきんご)と片岡 安(かたおか やすし)が手がけ、1918(大正7)年に竣工。ヘレン・ケラーやアインシュタインの講演会をはじめ、世界の名だたる楽団のオペラが催されたことも。地下1階の展示室は自由に見学でき、建設時のデザイン画や建材を展示、待合の椅子はいまなお現役だ。また、創建当時に貴賓室として使われていた特別室が残っており、ステンドグラスの窓に加えて、ドーム天井に洋画家・松岡 壽(まつおかひさし)の筆で『日本書紀』の名場面が描かれている(写真)。和と洋を融合させた芸術的な空間が広がる。

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大阪市中央公会堂の地下1階にある「中之島ソーシャルイート アウェイク」は、フレンチ・イタリアンの店。クラシックな空間に、ロンドンを拠点に活躍するデザイナー、トム・ディクソン氏のインテリアが融合していて心地よい。名物の「牛肉煮込みのオムライスランチ」(写真)は、ふわとろのオムレツとデミグラスソースの相性が絶妙。ほかにも季節の食材を使ったパスタや本格エスプレッソ、スイーツなどが豊富に揃

う。各地のクラフトビールやお値打ちワインも気軽に楽しめる大人の社交場だ。大阪市中央公会堂のすぐ隣には大阪府立中之島図書館が立つ。外観はギリシャ・ローマの神殿様式を忠実に踏襲し、1904(明治37)年に15代住友吉左衛門友純(ともいと)の寄付で建てられた。貴重な古文書やビジネス関係書籍など膨大な資料を所蔵し、研究者が足繁く通う。館内に入るやいなや、大きな円型ドームを見上げる空間の下に、歴史を感じる大階段が設けられており、圧巻(写真)。建物ウオッチングをするだけでも十分に楽しめる。

中之島のアートシーンを牽引する文化施設

公会堂方面から徒歩約15分で「大阪中之島美術館」(写真)に着く。美術館はパッサージュ(フランス語で屋根付きの小径、アーケードの意味)を意識して設計され、天井が高く、ガラス窓を配し開放感のある建物が印象的だ。メインの展覧会以外にも、入館無料のスペースやミュージアムショップもあり、美術館上階からの街の眺望はまさにアートそのもの。45階の展示室(有料)では、魅力ある企画展が折々開催されている。とくに、洋画家・佐伯祐三氏の作品など、大阪・関西ゆかりのアーティストの作品が充実。2階芝生広場で来場者を迎えてくれる印象的な猫の彫刻も、大阪府出身の現代美術家・ヤノベケンジ氏の作品で、美術館のシンボルだ。

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この並びに国立国際美術館や20248月にリニューアルしたばかりの「大阪市立科学館」(写真)がある。ここは、サイエンスを楽しむ“新感覚科学館として体験型実験装置が揃い、身近に起こる不思議な現象を楽しく学べる。前身は1937(昭和12)年に東洋初、また日本初のプラネタリウム施設として開館した大阪市立電気科学館で、漫画家・手塚治虫も少年時代に星空を見にここを訪れていた。いまも世界最高峰の臨場感あふれるプラネタリウム(写真)であり、全天周映像システムがダイナミックなうえに、専門スタッフの解説が魅力的で、変わらぬ人気スポットだ。

花と緑の中之島遊歩道街を見渡せるホテルへ

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東西に続く川沿いの遊歩道は、洗練されていながら自然豊か。土佐堀川沿いには、クリエイティブユニット「graf(グラフ)」の店「graf studio」(写真)がある。暮らしを豊かにするさまざまなコトを発信し、木材からこだわったオリジナルデザインの家具やカトラリーなどを製造販売。ショップ併設のキッチンでは、生産者の顔が見える食材を使用し、ランチや季節のスイーツなどを提供している(写真)。

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堂島川沿いの中之島通では「Wine Store Wassy’s(ワイン ストア ワッシーズ)中之島店」(写真)を訪ねたい。フランスやイタリアのほか、稀少なニューワールドのワインなど約2000種以上が揃う専門店だ。缶ワインやおつまみなどもあり、晴れた日はテラス席で味わえる。大阪の街の夜景を独占したいなら、中之島フェスティバルタワー・ウエスト最上階にある「コンラッド大阪」(写真)での宿泊がおすすめ。全客室から市街地を眺められるデザインが魅力的だ。

※本記事は、『J-B Style25夏号』(P16~23)を転載しています。

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