Web限定連載
ココロとカラダが喜ぶ“ウェルビーイング”な旅
Vol.2

【読書リトリート】ブックストア「松本本箱」(長野県)~城下町の温泉街で本と過ごす時間を

ハピネス

2026/09/18

旅をもっとナチュラルに自分らしく。“ウェルビーイング”とは、心身がともに満たされている状態のこと。忙しい毎日に、ココロとカラダが喜ぶ旅時間を——第2回は、信州松本の浅間温泉にあるブックストア「松本本箱」で本に囲まれ、読書に没入する時間を楽しむリトリートステイをご紹介。

ライター
取材・文/山口あゆみ 写真/木寺紀雄
エリア
長野県

信州の城下町、松本。町の中心に立つ国宝松本城から車で約15分の、美ヶ原(うつくしがはら)の山々のふもと、いわば松本の奥座敷に約1300年の歴史を誇る浅間温泉がある。江戸時代には松本藩の藩主や藩士が通い、明治時代以降は多くの文人が逗留した場所だ。
長い歴史が息づく土地で、貞享3(1686)年創業の老舗旅館「小柳」を再生し、令和4(2022)年に大人がくつろげるシックなホテル「松本本箱」が生まれた。このホテルがなによりも個性的なのは、一部がブックストアとなっていること。旧小柳の浴場であった部分を含む1・2階にあり、宿泊者は24時間、外来客は正午~5:00PMに利用することができる。

情緒ある街並みの一角で「知」との出会いを

ブックストア「松本本箱」のコンセプトは「新しい知との出会い」。本を読む、というのは、日常からひととき離れ、別の世界を旅すること。そして本を通じて新しい世界と出会うことで、気分や気持ち、考え方もリフレッシュされる。エントランス(写真)にかけられたのれんをくぐった先は、「本の道」と名付けられている。さまざまな時代のベストセラーが並んでおり、時代を振り返ったり、時代の流れを感じたりという体験ができる。本の道はテラスに面しており、明るい雰囲気だ。

エリアによって異なる本の世界が広がる

本の道を進むにつれ、だんだんとボルドー色を基調とした空間となり、非日常の世界にいざなわれる。突き当りの空間は「エキシビション型書店」(写真)。このエリアのディレクションと選書をしているのは選書家・ブックディレクターの幅允孝(はばよしたか)さんだ。エキシビションテーマは「新しい生活様式」。日々の暮らしに寄り添う、気軽に手にとれる本が並んでいるが、本を選ぶという行為を通して、自分の考えや将来への興味はなにかを問われているような感覚を覚える。松本に縁のある作家、北杜夫、辻邦生などの本も並び、松本という街が育んだ文芸にもふれることができる。

感性を刺激する幾多の本に囲まれる空間

階段を上がって2階に行くと、そこにはまた別な本の世界が。立ち読みではなくじっくり読んでみたくなった人のための「おこもり」スペース(写真)も用意されていて、人の目を感じない奥まったスペースは子どものころ遊んだ秘密基地のようだ。シックな色合いのクッションなども用意され、本の世界に没入するのに最適。夫婦や友人と一緒に訪れても、それぞれの興味に従って別々に過ごすことが自然だと感じられる空間だ。

いよいよ最奥のエリアは、「本に溺れる」をコンセプトにした「オトナ本箱」(写真)。かつての大浴場を利用し、高い天井まで続く正面の壁面は一面本棚。浴槽だった部分にはクッションが置かれ、思い思いにくつろげる場所になっている。かつては人々が温泉に浸かっていた場所で、本を手に過ごしていることがなんだか不思議な気分だ。海外の大型の写真集などビジュアルが美しいものも多く、ゆっくりとページをめくると、いままでになかった関心が自分のなかに生まれてくるのに気づく。

この「オトナ本箱」の階下には「こども本箱」(写真)もあり、やはり大浴場をリノベーションした空間。かつての洗い場は迷路風の本棚に、浴槽はボールプールになっている。ここには絵本が約2000冊も並び、懐かしい絵本やキュートな表紙に心をつかまれる。
ブックストア「松本本箱」に籠もって過ごせば、本と空間から栄養をもらって生き返るような気分になる。忙しいときにこそ足を運んで、心の充電をしてみては。

(*DATA)
ブックストア「松本本箱」
ぶっくすとあ「まつもとほんばこ」

●住所 長野県松本市浅間温泉3-13-1
●電話番号 0263-87-8606
●営業時間 正午~4:00PM最終入館 ※要予約(「松本十帖」宿泊者は24時間利用可)
●休み 無休
●料金 入場無料
●公式HP https://matsumotojujo.com/(松本十帖)

※掲載内容は、2026 年8月時点の情報です。時期や天候、施設・店舗の諸事情により変更となる場合があります。※価格は消費税込。 

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