“世界観”まで楽しめるシンガポールのアフタヌーンティー
カフェ
2026/07/24
イギリス統治時代の文化が残るシンガポールでは、英国式のクラシックなアフタヌーンティーはもちろん、その伝統をベースとして、シンガポールらしい文化やストーリーにふれられる新しいスタイルも広がっています。多様な国と地域や民族の文化が交差するこの街で開花したアフタヌーンティーの新潮流を訪ねて、優雅な午後を楽しみたい。

- 取材・文/粟屋千春 写真/秋田大輔

- シンガポール
シンガポールで進化するアフタヌーンティー文化

シンガポールでアフタヌーンティーが親しまれるようになったのは、イギリス統治時代のこと。かつてシンガポール駐在の家族に帯同していたイギリス出身の女性たちが、蒸し暑い午後の外出を避けてお茶を楽しんでいたことが、その始まりといわれている。やがてその習慣は広く定着し、いまではシンガポールを代表する優雅な文化のひとつとなった。
そんなアフタヌーンティーは、歴史ある名門ホテルや格式あるティーサロン(写真は、TWG Tea アット 髙島屋)からモダンなラウンジまで、豊富な選択肢があることが魅力のひとつ。加えて近年は、アフタヌーンティーに独自の解釈や世界観を加えた進化系のティーサロンが存在感を増してきている。


アルコールでの乾杯から始められるバー(写真は、アトラス、グランド・ロビー&バー)のアフタヌーンティーや、紅茶をコーヒーに置き換えたアフタヌーンコーヒー(写真は、バシャ・コーヒー・アイオン・オーチャード)、アート鑑賞と融合したものや、東南アジアやプラナカン(※)の食文化を取り入れたメニューを提供するものなど、話題を集めているのはどれも個性的なものばかりだ。単にお茶やスイーツを優雅に味わうだけではない。
その店の背景にあるストーリーや文化そのものまで楽しむことができるスタイルに進化し、広がりを見せている。まさに多様な文化を受け入れながら独自の発展を遂げてきたシンガポールらしく、アフタヌーンティーもこの地ならではの個性を映し出している。
(※)プラナカン……15世紀後半以降にマレー半島へ移住した中国系移民と現地の女性が結婚して生まれた子孫のこと。
「プラダ・カフェ」――ブランドが魅せるティータイム

“新しいアフタヌーンティー文化”を象徴する存在のひとつが、2025年にオーチャードのショッピングセンター内にオープンした、東南アジア初の「プラダ・カフェ」(冒頭写真)だ。
ブランドブティックに併設されたこのカフェは、「ブティックだけでなく、ゲストにさらに魅力的で刺激的な体験を提供したい」というブランドの想いから誕生したという。単なるブランドカフェではなく、プラダの世界観を五感で楽しめる場所として人々の人気を集めている。
店内に入った瞬間、視界に飛び込んでくるのがブランドを象徴するミントグリーンの壁や大きなショーケース、商品が美しく飾られた棚や白と黒の市松模様が広がる床(写真)。実はこの床にはストーリーがある。1913年、壮麗なミラノのショッピングアーケード「ガレリア・ヴィットリオ・エマヌエーレ2世」に誕生した、プラダ本店の床のデザインを再現したものなのだ。さらに、世界各地のプラダの主要な店舗で見ることができる花をモチーフにしたレリーフ装飾が、壁面をさりげなく彩り、ブランドの美意識を感じさせる空間をつくり上げている。
味わいやテーブルウエアにまで行き届いている世界観


この特別な空間で楽しめるアフタヌーンティーは、イタリアの伝統にモダンなアレンジを加えたスイーツとセイボリーが主役。PRADAのロゴ入りチョコレートプラリネやフルーツゼリー(写真)、カナッペ、サンドイッチなどが並び、シーズンごとに内容が替わる。コロンとした愛らしい形状のティラミス(写真)は、プラダのロゴをモチーフにしたチョコレートがあしらわれ、遊び心たっぷり。ひと口食べれば、マスカルポーネの風味が口いっぱいに広がる。ほか、バルサミコ酢やチーズを使ったセイボリーは、酸味や塩味のバランスが絶妙! しっかりとした味わいながらも口あたりは軽やかで、紅茶との相性もよく、優雅な午後のひとときを演出してくれる。
また、アフタヌーンティーを彩るテーブルウエアにもこだわりが光る。古代の青磁に着想を得たという淡い水色の磁器(写真)には、日本で古くから受け継がれてきた色釉(いろぐすり)の技法が採用されている。プラダはイタリアブランドでありながら、さまざまな文化や美意識を取り入れている点も興味深い。

大きなショーケースと背面の壁にさまざまなスイーツがディスプレイされた華やかな空間(写真)で、プラダならではのこだわりやイタリアのエッセンスが感じられるモダンなアフタヌーンティーを楽しむ時間は格別だ。
伝統を受け継ぎながら、新しい世界観を取り入れて進化を続けるシンガポールのアフタヌーンティー。その魅力を、プラダ・カフェで体感してみてはいかがだろう。
(*DATA)
「TWG Tea at Takashimaya」TWC Tea アット 髙島屋
●住所 391 Orchard Rd., Takashimaya Singapore, Level 2, Singapore 238873
●電話 65-6363-1837
●営業時間 10:00AM~9:30PM(アフタヌーンティー2:00PM~6:00PM)
●定休日 無休
●公式サイト https://twgtea.com/
「ATLAS, A Grand Lobby & Bar」アトラス、グランド・ロビー&バー
●住所 Parkview Square, 600 North Bridge Rd., Singapore 188778
●電話 65-6396-4466
●営業時間 正午~0:00AM(深夜)(月3:00PM~、金・土 ~翌2:00AM、アフタヌーンティー 3:30PM~5:30PM)
●定休日 日曜
●公式サイト https://atlasbar.sg
「BACHA COFFEE ION Orchard」バシャコーヒー・アイオン・オーチャード
●住所 2 Orchard Turn, #01-15/16 ION Orchard, Singapore 238801
●電話 65-6363-1910
●営業時間 9:30AM~10:00PM
●定休日 無休
●公式サイト https://bachacoffee.com/en/
「PRADA CAFFÉ」プラダ・カフェ
●住所 2 Orchard Turn, #02-15 ION Orchard, Singapore 238801
●電話 65-6509-3578
●営業時間 正午~8:00PM(アフタヌーンティー 2:30PM~4:00PM)
●定休日 無休
●公式サイト https://www.prada.com/jp/ja/pradasphere/special-projects/2025/prada-caffe-singapore-ion.html/
※本記事は、2026年6月時点の情報です。時期や天候、施設店舗の諸事情により変更となる場合があります。
